CES 2022 Media Day(Day1)
本記事は、NTTコミュニケーションズ イノベーションセンターの小室智昭氏より寄稿いただいた原稿をそのまま掲出しています。
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皆さん、明けましておめでとうございます。年末は厳しい寒波で大雪の被害もあったと聞きますが、年末年始で気分がリフレッシュできたことと思います。2022年も旬なネタをタイムリーにお届けしたいと思います。
さて、今回は2年ぶりにLas Vegas市に帰ってきた全米最大のテックカンファレンスのCES(シー・イー・エス)についてお伝えします。CES 2022は1月5日から1月7日の予定で開催されますが、1月3日・4日には20社がMedia向けにPress Conferenceを行います。昨年まではIndustry Analystとして招待されていましたが、今年はMediaとして招待いただきました。
1月5日以降、各メディアが一斉にCES 2022について報道すると思います。今回はその前に、Media Dayの初日について情報共有します。
1. はじめに
オミクロン株の感染拡大を受けて、CTAは2021年末に突然会期の短縮を発表した。当初は1月5日から1月8日の予定で開催されるはずだったCES 2022だが、1月5日から1月7日の3日間の開催となった。
国境を越える移動が規制される中Media Roomはいつもと全く違う様子で閑散としていた。
「CES 2022 Tech Trends to Watch」はMedia Dayの人気セッションで毎年長い行列ができるが、今年は行列もなく参加者はパラパラと会場に入っていった。それでも50%に制限された会場はセッション開始前までにはほぼ満員になり、注目度の高さが窺えた。
2.CES 2022 Tech Trends to Watch
"CES 2022における注目すべき技術トレンド"と題するセッションは、毎年、Media Day初日に開催される。ここ数年は二人のリサーチャーがテーマごとにトレンドを説明していたが、今年はVP, ResearchのSteve Koenigさんが一人でこのセッションを務めた。
(1) 4つの注目エリア
Steveさんは4つの注目エリアがあると説明した。1つ目はTechnology Demand、2つ目はTechnology Investment、3つ目はThe New Tech Lifestyle、そして、4つ目はTechnology Trendsだ。
(1-1) Technology Demand
Technology Demandは依然として力強い。波はあるが2021年は堅調に技術の価値は成長し、米国のC向けハードウェア、ソフトウェアも成長が見込まれている。
消費者の消費意欲を見ると、1位が、Smartphone、2位がLaptop Computer、3位が(おそらく大型)テレビとなっている。
「Pandemicが消費者の生活・行動を変えた。消費者の行動の変化に伴い、提供される商品も変化した。これまでは物の売買が中心であったが、今ではサービスがとても重要となった。」とSteveさんは説明した。それを裏付けるように、このセッションでは毎年、テレビや携帯電話などのC向け製品の出荷台数が報告されてきたが、昨年からその報告がなくなった。その代わりに報告されるようになったのは、NetflixなどのStreaming Serviceの加入者数だ。
(1-2) Technology Investment
世界各地のStartupたちの資金調達が加速している。Steveさんは、CBInsigt社の調査を引用し、2020年Q3と2021年Q3と比較すると全体で105%も資金調達額が増えていると説明した。
Startupの企業価値を見ると、米国が$72.3Bと圧倒的だが、アジアが欧州の倍以上の$50.2Bというのは驚きを隠せない。
Steveさんの説明によると、その中でも注目すべき領域はRetail Tech、FinTech、Healthcareだそうだ。この3つの領域のStartupは、2021年度末までに$100Bを調達する勢いで成長している。
(1-3) The New Tech Lifestyle
Steveさんは、運送コストの高騰と半導体不足について説明した。2020年9月時点では11ヶ月程度で納品されていたが、2021年9月時点では、納品に22ヶ月かかっていたそうだ。Intel社などの半導体各社は増産に向けた投資を行っているので、その効果を待ちたい。
(1-4) Technology Trends
Steveさんは、注目すべき技術トレンドとして、5G、Cloud、AI、Metaverse、Transportation、Space Tech、Sustainable Technology、Digital Healthを手短に挙げた。
(a) 5G
5Gについては、消費者目線の5Gが多かったが、2022年は企業向け5Gサービスへのシフトが始まると予測した。また、2022年前半のRel-18のWorkshopは5GのIIOTへの対応が追い風になると考えを述べた。
(b) AI
AIはコア技術としての発展から、業界を変えるようなアプリケーションへと発展していくだろうと予測した。一般ユーザへのアンケート調査によると、買い物のレコメンド、家の掃除、健康や食生活のアドバイスなどへの展開を期待する声が多い。お掃除ロボットやロボアドバイザーの活用が進んでいることを鑑みると、すでにAIをベースにしたアプリケーションは一般ユーザーに浸透し始めていると言っても良いだろう。
(c) Metaverse
「ハードウェア、ソフトウェア/アプリケーション、仮想通貨のそれぞれにリーダー的存在はいて、注目度も高いが、実際にブレイクするのは2025年以降ではないか」というのが、Steveさんの見立てだ。
しかし、87%の企業が「今後の2年間のうちにVirtual Meeting、シミュレーション/Digital Twin、Remote Collaboration、Immersive Design、Marketing & Salesの5つの業務でXRの活用を計画している。」と回答したそうだ。
(d) Space Tech
Space TechはCES 2022で初めて注目すべき技術トレンドとして取り上げられた。衛星のビジネス活用、宇宙旅行、大国同士の宇宙における覇権争いなどを考えると、注目すべき技術として扱われるのは当然のことだろう。
(e) Digital health
先述した通り、Digital Healthは投資家も注目している分野だ。医療機器、Connected Device、Wearableと多種多様なソリューションが登場している。中でもSteveさんが"Sky Rocketing"と表現するぐらい注目度が急上昇しているのがMental Healthだ。ある調査によると、「米国の成人の52%が健康な状態を維持するためにHealth Techを利用したい」と回答したそうだ。
さらに、成人の4人に1人は治療目的でビデオ会議をした経験があり、2022年に出荷されるトレーンング用のConnectedなスポーツ器具は240万個と予想されていて、2019年の実績よりも19%成長している。
(f) Mobility
Mobilityもまだまだ注目度は高い。家庭用EVだけでなく、商業車両のEVや自動運転もさらに注目が集まるだろう。
Mobilityの中で、個人的にも気になっているのがUrban Air Mobilityだ。CES 2020では既存のDroneと一線を隠すように、Bell社などが商業目的のeVTOLをMolibityが多く集まるLVCC Northに出展して注目を集めていた。
このセッションに続いて行われたCES 2022 Unveilでは日本のSkyDrive社が出展していた。SkyDrive社はEureka ParkのJ-Startupのスペースに実物大のeVTOLを出展する。実にJ-Startupの全スペースの3分の1をSkyDrive社が占有しているそうだ。
本記事は、NTTコミュニケーションズ イノベーションセンターの小室智昭氏より寄稿いただいた原稿をそのまま掲出しています。
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