ICT経済は減少に転じる~ICT財生産に加え、ICTサービスも減少に~【InfoCom ICT経済アップデート】
情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2020年4-6月期がまとまりましたのでご報告いたします。
2020年4-6月期のポイント(前年同期比)
2020年4-6月期のICT経済は減少に転じた。ICT財は、前年同期比マイナス5.3%と6期連続で減少した。ICTサービスは、同マイナス3.0%と減少に転じた。ICT財は、在庫調整局面にある。
需要サイドは、ICT輸出が7期連続でマイナスを記録し、ICT財生産へのマイナスの影響が継続している。ICT設備投資(民需)は再び減少に転じた。一方、ICT消費はパソコン等の需要の増加により、同3.5%増となり、ICT輸入は増加に転じている。
月次ベースで見ると、5月は新型コロナウイルスによるマイナスの影響が財生産面、輸出面で顕著となったが、国内経済全体の大幅な落ち込みに比べ、ICT経済の減少幅は小さい。5月に底打ちし、6月には減少幅は縮小している。足元では感染が再び増加傾向にあるが、withコロナを見据えたデジタル化の推進を受け、2020年7-9月期は、緩やかに回復するか注目される。
2020年4-6月期の動向
(ICT経済総合)
- 国内ICT経済は前年同期比マイナス3.5%と減少に転じた。前期に比べて3.8ポイント減少した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比マイナス3.0%と減少に転じた(図表3)。
- 通信業、受注ソフトウェア、映画制作・配給業は減少幅が拡大したが、ゲームソフトは増加幅が拡大した。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比マイナス5.3%と6期連続で減少した(図表4)。
- 電子計算機・集積回路が減少に転じ、電子部品の増加幅が縮小した。一方、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置の増加幅が拡大した。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比マイナス8.1%と減少が継続した(図表5)。
- 民生用電子機械の減少幅が縮小した。集積回路は増加に転じた。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比3.5%と18期連続で増加した(図表6)。
- テレビ、パソコンは増加幅が拡大したが、スマートフォン等の通信・通話使用料は減少幅が拡大した。
(ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比マイナス4.8%と減少に転じた(図表7)。
- 電気計算機等、通信機は減少に転じた。
- 官公需は前年同期比5.4%と2期連続で増加した。
(ICT輸出入)
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス10.7%と7期連続で減少した(図表8)。半導体等製造装置は減少に転じ、電算機類の部分品、通信機は減少幅が拡大した。数量ベースでは同マイナス7.4%と減少に転じた。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比2.7%と4期ぶりに増加に転じた(図表9)。電算機類、通信機は増加に転じ、半導体等製造装置は増加幅が拡大した。数量ベースでは同12.8%と増加に転じた。
「InfoCom ICT経済アップデート」の主な内容
情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。情報通信の在庫循環分析
情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。
※ICT関連経済指標は、九州大学篠﨑彰彦研究室で開発された指標を、情報通信総合研究所で維持・更新し、必要に応じて改善しているものです。
情報通信総合研究所は、先端ICTに関する豊富な知見と課題解決力を活かし、次世代に求められる価値を協創していきます。
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