7月に入って、セブンイレブンとファミリーマートの二社が独自のバーコード決済アプリを使った決済サービスである、7payとファミペイをそれぞれスタートした。
バーコード決済市場は、昨年来多くの事業者が参入しかなりの混戦となっているが、コンビニ業界の参入で、利用者にとってはさらにキャッシュレス決済導入のきっかけが増える一方で、サービスの選択肢が多過ぎて逆に不便を感じるような状況にもなっていると言える。
今回、両者ともスタート初日にはアクセスが集中して登録ができない状況が続き、筆者も初日に登録することはできなかった。想定を超えるアクセスが集中したのだろうが、こうしたことが起こると、サービスの信頼性そのものが揺らぐことなる。さらに7payは第三者による不正利用事例が発生し、2019/7/4現在、全てのチャージを一旦停止し、新規登録も停止すると発表した。7payのログインは、携帯電話を使った二段階認証などがないため、メールアドレスとパスワードがなんらかの原因で流出すると不正にログインされ利用されることになる。特にクレジットカードからのチャージを許可するのであれば、こうした不正利用を防ぐためのセキュリティを確保することが重要なのは言うまでもない。
先行するバーコード決済事業者との大きな違いは、より詳細な決済データの収集によって、クーポンの配布や利用促進の機能を持たせていることだろう。ファミペイは、電子レシートの機能も持たせるなど、バーコード決済の可能性をより広げるものとなっている。しかしながら、チャージ方法は現金がメインでクレジットカードは自社ブランドのカードしか使えないなど、利便性で劣る部分もある。
利用者の獲得と利用促進に、各社ともますます鎬を削ることになりそうだ。
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出口 健(転出済み)の記事
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