ICT雑感:ChatGPTが紡ぐ現代版『東海道中膝栗毛』
私は現在、関西に居住しており、必要に応じて東京の事務所へ出社している。新大阪から東京までの約2.5時間は、メールの返信をしたり、ため込んでいた本と向き合ったりするうちにあっさり消費してしまう。
同じような東海道の道程を、十返舎一九は『東海道中膝栗毛』として、弥次さんと喜多さんに2週間以上をかけて旅をさせ、実に約20年にもおよぶ長期刊行の大ヒットとなった。
私もゆっくりと各駅停車で、と考えはするものの、公私ともに山積みとなったタスクを放り出すわけにもいかないので、江戸時代に生きた人々と同様、代わりに弥次喜多に現代の東海道を旅してもらい、その活躍を楽しむことを思いついた。それならばと、ChatGPT 4.0に「『東海道中膝栗毛』を現代風にアレンジして」とお願いした内容が以下である。
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概要:
2024年の東京で働くサラリーマン・弥次郎兵衛と、デジタルネイティブで自由奔放な喜多八は、仕事のプレッシャーや現代社会の忙しさに疲れ果て、東海道を旅することを決意します。彼らは東京から大阪までの道中を途中下車しつつ、旅の記録をリアルタイムでSNSにアップしていきます。旅はトラブル続きで、笑いを交えたハプニングが満載ですが、道中で様々な人々と出会い、現代日本の姿を発見していきます。
ストーリー:
東京:
弥次郎兵衛は、最新のスマートフォンを駆使して旅の計画を立てます。一方の喜多八は、ドローンで旅の様子を空撮し、ライブ配信する準備をします。二人は出発前に、Xのフォロワーに旅のアイデアを募るなど、コミカルなスタートを切ります。
品川:
最初の途中下車。AR技術を使って、江戸時代の品川宿を再現しながら、二人はそのギャップに笑いを交えたやり取りを繰り広げます。しかし、技術トラブルで弥次郎兵衛のスマートグラスが誤作動し、彼は現代と江戸時代が交錯するような混乱状態に。
熱海:
温泉宿でのんびりしようとするも、IoT機器による部屋の自動設定が暴走。温泉が突然冷たくなったり、サウナが熱過ぎたりと、笑いのネタが尽きません。二人は地元のエンジニアに助けを求めることになりますが、彼もまた奇妙なキャラクターで……。
静岡:
AIを活用したお茶のテイスティング体験が待っていますが、弥次郎兵衛はAIのおすすめに従い過ぎて、次々と異なるお茶を飲み比べてしまい、カフェイン過剰摂取になってしまいます。喜多八はその様子を富士山背景の動画で撮影し、Instagramで「#お茶中毒」として話題になります。
浜松:
音楽の街に到着した二人は、AI作曲アプリで即興のセッションを開始。しかし、弥次郎兵衛のAIが昭和歌謡ばかりを作曲し、現代の感覚から外れた曲調に。喜多八はこれを逆手に取り、街の人々と一緒に大笑いしながら、即席のダンスパーティーを開きます。
京都:
AIがガイドする伝統文化体験に参加。しかし、AIから由緒正しき仏像を「日本で一番人気のある癒し系キャラ」として紹介される羽目に。二人はツッコミを入れながらも、フォロワーとの交流を楽しみます。
大阪:
最終目的地に到着後、全自動お好み焼きロボットと対決することに。二人はロボットの正確さに感心しながらも、やっぱり人の手が作る味に勝るものはないと再認識。最後は、旅の写真をFacebookにアップして大いに笑い、旅を締めくくります。
いかがだろうか。静岡県で3回も途中下車するのに愛知県では1回も降車しないという行程にはツッコミを入れたくなるところだが、ChatGPTが現代の旅路を快適かつ面白いものにするにはICTが不可欠だと考えていることが判明した。
ところで、さきほど『西遊記』(岩波文庫/なんと10冊セット!)が配送されてきた。現代語訳の『東海道中膝栗毛』を検索した際に、Amazonからおすすめされてつい購入してしまったのだが、面白いのは、Amazonの検索アルゴリズムが、東海道の旅も天竺へ向かう旅も同じ“ドタバタ旅行記”と考えているように思える点だ。
ただひとつだけ気になったのは、Amazonとしては、西遊記で描かれる行程を、東海道の往路(東京→大阪)と復路(大阪→東京)のどちらで捉えているのだろう、ということだったのだが、生まれも育ちも大阪の妻に聞くと「大阪が天竺に決まってるやろ」とのことだったので、どうやら正解は前者だということで解決しそうだ。
※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。
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