2023.4.27 InfoCom T&S World Trend Report

世界の街角から:ガウディの街・バルセロナはチュッパチャプスの街

日本でもついにマスク着用が任意となった2023年3月、スペインのバルセロナに私はいた。マスク着用なんていつの話というほど、街は既にアフターコロナの世界で、お店でも電車の中でも、マスクをしている人をほとんど見かけなかった。まるで少し先の日本の風景を見ているかのようだった。

スペイン・バルセロナと言えば、欧州サッカーの強豪FCバルセロナの本拠地だ。加えて、パエリア、アヒージョ、ワインといったグルメも堪能できる街なのだろうというイメージが先行していた。

下調べせず、予備知識ゼロで訪れたスペイン第2の都市は、思った以上に「ガウディ色」の強い街だった。そしてそれ以上に至る所で見かけたのは――。

多様な言語文化と食文化

バルセロナの空港に着いた2月下旬、気温は東京と同じくらいだった。緯度で言えば、青森県などに位置する北緯41度だが、それに比べると、控えめな寒さの土地だった。

空港に降り立つと、案内板の言語が3つ併記されていることに気付く。スペイン語と英語と……。何と、もう一つはカタルーニャ語らしい。恥ずかしながら、スペインでスペイン語以外の言葉を使う人々が多いとは知らなかった。異国に来たという実感がにわかに湧いてくる(写真1)。

【写真1】カタルーニャ語も併記された看板

【写真1】カタルーニャ語も併記された看板
(出典:文中掲載の写真はすべて筆者撮影)

数々の歴史に彩られた町は、食文化も多彩だ。日本を含む世界中で人気の高級ブランド「イベリコ豚」を使ったサンドイッチの店を至る所で見かける(写真2)。思わず買いたくもなるが、当時進行していた円安を勘案すると決して安いとは言えない(2月下旬当時のレートで1ユーロ≒130円)。

【写真2】空港内にあるイベリコ豚の サンドイッチを売るお店

【写真2】空港内にあるイベリコ豚の
サンドイッチを売るお店

一方、世界中にあるマクドナルドはバルセロナでも健在で、大勢の客で繁盛していた。6.5ユーロのセットは、ハンバーガーにポテトと「ビール」が付いてくる。ビールが買えるマクドナルドというのは、なかなか意外で新鮮だった(写真3)。

【写真3】ビールが付くマクドナルドのセット

【写真3】ビールが付くマクドナルドのセット

また、ドイツ発祥のグミ「HARIBO(ハリボー)」のスペイン語版も多くの店で見かけ、その世界的人気ぶりをあらためて知った。

色鮮やかなハリボーの数々に魅了され、思わず土産用に買い込んだ(写真4)。

【写真4】お店で売られるハリボーグミ

【写真4】お店で売られるハリボーグミ

ChupaChups everywhere

バルセロナ滞在中、水や食料を買うために日々近くのスーパーを利用した。バルセロナでは「Supermerkat」と呼ぶらしい。店内で目に留まったのが棒が付いた飴「チュッパチャプス」とそのジュースだ。これまた珍しいと思ったが、何の変哲もないあちこちの店でチュッパチャプスのジュースが売っている。日本ではもちろん、他国でもお目にかかったことがない。

それで気になって調べて分かったのだが、チュッパチャプスはスペイン、それもバルセロナ発祥なのだという。チュッパチャプスは米国発祥のお菓子だとばかり思い込んでいた。自らの勝手な思い込み、先入観というものの大きさを感じた。

発祥地とあらば、普通のチュッパチャプスの10倍ほども大きい巨大チュッパチャプスが売られていたのも、なるほど納得だった。1本16.99ユーロと書かれた値札を見て、そっと売り場を遠ざかる(写真5、6)。

【写真5】1本16.99ユーロの巨大チュッパチャプス

【写真5】1本16.99ユーロの巨大チュッパチャプス

【写真6】チュッパチャプスのジュース

【写真6】チュッパチャプスのジュース

ガウディの街

食べ物の話ばかりになってしまった。話をガウディに移そう。

バルセロナはガウディの遺作として有名な教会「サグラダファミリア」の建設が続く街だ。ある晴れた日に近くまで行ってみることにした。

最寄りの地下鉄、その名も「Sagrada Familia」駅で降りて地上に出るとすぐ、空に向かってそびえ立つ未完の教会が眼前に飛び込んでくる(写真7、8)。

【写真7】地下鉄Sagrada Familia駅へ続く階段

【写真7】地下鉄Sagrada Familia駅へ続く階段

【写真8】サグラダファミリアの外観(1)

【写真8】サグラダファミリアの外観(1)

荘厳な尖塔を有し、完成の時を今か今かと待ちつつ、多くの観光客の目を楽しませていた。どの角度でも、近くからでも、遠くから見ても絵になる。思わず何十枚とカメラのシャッターを切る(写真9)。

【写真9】サグラダファミリアの外観(2)

【写真9】サグラダファミリアの外観(2)

なお、サグラダファミリアは中にも入れる。ただ、事前に専用のアプリで予約し、入場券を購入しなければならない(2023年2月末現在)。

サグラダファミリアは2026年にいよいよ完成を迎える。あと3年。この街を訪れる観光客はますます増えていくだろう。

ガウディの作品は他にも

これまた知らなかったのだが、バルセロナの街にはガウディが手掛けた建造物が多数存在する。そしてその多くが世界遺産に登録されている。バルセロナを観光するなら、ぜひくまなく回ってほしい。今も実際に人が住んでいるCasa Milà(カサ・ミラ)や、ライトアップされた姿も美しいCasa Batlló(カサ・バトリョ)も壮観だった(写真10、11)。

【写真10】ガウディが手掛けたCasa Milà

【写真10】ガウディが手掛けたCasa Milà

【写真11】Casa Batlló

【写真11】Casa Batlló

旅の良さは発見と再発見

バルセロナから日本への帰途に就く際、空港ではやはりまたチュッパチャプスとハリボーを多く見かけた。さまざまなフレーバーがあるハリボーの中に混じって「スーパーマリオ」のハリボーグミもあった。

日本発のキャラクターは海外でもやはり人気だな――。そう感じながら、知らないことだらけの世界の広さと日本の良さを再認識する旅は終わった。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。

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