「折りたたみディスプレイ」はスマホ向けが本命か

サムスンは2018年11月7日、自社の年次開発者会議「Samsung Developer Conference」にて折りたたみ式スマートフォンを発表しました。数か月以内に量産体制に入るそうです。
折りたたみ式のスマートフォン
折りたたむスマートフォンは、すでにドコモから市販されています。(https://www.nttdocomo.co.jp/product/smart_phone/z01k/)
ただし、これは画面が2つです。1枚のディスプレイを折りたためることで、境目のない大きな画面をコンパクトに持ち運ぶことができるようになります。また、サムスン発表の折りたたみ式端末では、最大3つのアプリを同時に実行可能だとしています。Googleがこれをサポートすることを明らかにしており、Android端末に搭載されます。
一方、このディスプレイを開発したサムスン・ディスプレイ社は、すでにロールできるディスプレイ、S字カーブに曲がるディスプレイも公開しています。
ディスプレイがフレキシブルになることで、曲面をディスプレイ化できます。
透明ディスプレイ
ディスプレイでは、すでに様々なものが登場しています。パナソニックは2017年に透明ディスプレイを発売しています。(https://news.panasonic.com/jp/press/data/2017/01/jn170130-3/jn170130-3.html)
『透明モードでは、ショーウィンドーとして、商品や展示物を見せることができ、スクリーンモードでは、ガラス面に高画質な映像を表示することができます。新製品の情報を映像で表示したり、バーゲン時にはセール情報を表示するなど、より魅力的な空間としての活用が可能です。また、スクリーンは、複数枚接合による大画面化が容易です』とのことです。
ジャパンディスプレイ(JDI)は2018年7月、透明ディスプレイを国内トップレベルのカーレース「スーパーフォーミュラ」のドライバーのヘルメットに装着して走行実験を行いました。
(https://www.j-display.com/news/2018/20180801_05.html)
『1000分の1秒を競うスーパーフォーミュラのレースでは、ドライバーは一瞬のミスも許されない緊張感の中、様々な情報を視認し、チームとともに戦います。そのような環境下で少しの視線の動きを抑えることができたら、ドライバーのストレスは大幅に減るでしょう』と、実験に協力したチーム「ダンディライアン レーシング」(https://www.dandelion-racing.com/team/)の村岡監督がコメントしています。
数年前に注目を集めた「グーグルグラス」は、一部での試験販売にとどまったわけですが、たとえばメガネや帽子に透明ディスプレイが搭載されれば、仕事や日々の生活などで広く使われるようになるかもしれません。家の窓ガラスを大きなスクリーンとして、スポーツ観戦するような未来が来るかもしれません。また、AR、VR、MRといった領域での透過ディスプレイの可能性は、「NTT R&Dフォーラム 2018」でも発表されています。(https://www.ntt.co.jp/RD/active/201802/jp/exhibit1_ui202X.html)
5G方式との相性の良さも、期待できそうです。
このように、ディスプレイはこれまで以上に様々な場所へ、様々な使い方へ、と可能性を広げていることがわかります。折りたたみディスプレイのスマートフォンへの搭載は、社会や生活の場にディスプレイが広がっていくトレンドを作る1要素、ととらえるべきでしょう。
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岸田 重行 (Shigeyuki Kishida)の記事
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