情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2019年1-3月期がまとまりましたのでご報告いたします。
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2019年1-3月期のポイント(前年同期比)
ICT経済は18期ぶりにマイナス成長となった。供給面から確認すると、ICTサービスが18期連続増と好調を維持しているものの、ICT財が11期ぶりにマイナス9.4%と大幅な減速となった。
需要サイドを確認すると、ICT輸出が2期連続でマイナスを記録し、それが国内の生産面に波及した形だ。その結果、ICT輸入もマイナスに落ち込んだ。成長のエンジンと言われるICT設備投資も一時の勢いはなく、マイナス5.8%となった。ICT消費は堅調さを維持し、2.7%となったが、ICT経済全体を下支えするまでの勢いはなかった。
世界的なスマートフォン需要の一巡、米中貿易摩擦を背景にした中国経済の減速が、ICT輸出とICT生産ならびにICT設備投資の低迷に影響している。
2019年1-3月期の動向
ICT経済総合
- 国内ICT経済は前年同期比マイナス0.17%と18期ぶりに減少に転じた。前期に比べて2.2ポイント減少した(図表2)。
ICTサービス
- ICTサービスは前年同期比2.2%と18期連続で増加した(図表3)。
- 受注ソフトウェアの増加幅が拡大し、ゲームソフトの増加幅が縮小した。
ICT財
- ICT財は前年同期比マイナス9.4%と11期ぶりに減少に転じた(図表4)。
- 半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置の減少幅が拡大し、電子部品、集積回路は減少に転じた。
ICT在庫
- ICT在庫は前年同期比10.8%と増加幅が縮小した(図表5)。
- 電子デバイスの増加幅が縮小し、集積回路は減少に転じた。
ICT消費
- ICT消費は前年同期比2.7%と13期連続で増加した(図表6)。
- スマートフォン等の通信・通話使用料、パソコンの増加幅が縮小した。スマートフォン等の本体価格は増加に転じた。
ICT設備投資
- 民需(除く電力、携帯電話)は前年同期比マイナス5.8%と前期の増加から減少に転じた(図表7)。
- 電子計算機等は減少幅が拡大し、通信機(除携帯電話)は減少に転じた。
• 官公需は前年同期比マイナス13.9%と4期ぶりに減少に転じた。
ICT輸出入
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス9.3%と2期連続で減少した(図表8)。通信機、半導体等製造装置の減少幅が縮小し、半導体等電子部品は減少に転じた。数量ベースではマイナス13.2%と3期連続で減少した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比マイナス3.8%と3期ぶりに減少に転じた(図表9)。通信機の減少幅が縮小し、半導体等電子部品、半導体等製造装置が減少に転じた。数量ベースではマイナス1.1%と2期連続で減少した。
「InfoCom ICT経済アップデート」の主な内容
- 情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。 - 情報通信の在庫循環分析
情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。
- ICT関連経済指標は、九州大学篠﨑彰彦研究室で開発された指標を、情報通信総合研究所で維持・更新しているものです。
情報通信総合研究所は、先端ICTに関する豊富な知見と課題解決力を活かし、次世代に求められる価値を協創していきます。
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