情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2020年1-3月期がまとまりましたのでご報告いたします。
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2020年1-3月期のポイント(前年同期比)
2020年1-3月期のICT経済はわずかに増加に転じた。ICT財は前年同期比マイナス0.3%と5期連続で減少した。ICTサービスは、同0.2%増となった。ICT財は、在庫調整局面にある。
需要サイドは、ICT輸出が6期連続でマイナスを記録し、ICT生産に影響している。ICT輸入は3期連続で減少し、ICT設備投資(民需)は再び増加に転じた。ICT消費はパソコン需要の増加等により、同2.7%増となった。
月次ベースを見ると、3月は新型コロナウィルスによる影響が財生産面、輸出面に顕在化してきている。2020 年 4~6 月期は、引き続き新型コロナウィルスによる海外経済の減速、国内の緊急事態宣言の影響でリーマンショック時を上回る大幅なマイナスとなる見込みだ。
2020年1-3月期の動向
(ICT経済総合)
- 国内ICT経済は前年同期比0.1%と増加に転じた。前期に比べて2.6ポイント増加した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比0.2%と増加に転じた(図表3)。
- 受注ソフトウェアは減少に転じたが、ゲームソフトは増加に転じ、情報関連機器リースは増加幅が拡大した。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比マイナス0.3%と5期連続で減少した(図表4)。
- 電子部品、集積回路が増加に転じたが、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置の増加幅が縮小した。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比マイナス8.6%と減少に転じた(図表5)。
- 集積回路の減少幅は縮小し、民生用電子機械の減少幅が拡大した。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比2.7%と17期連続で増加した(図表6)。
- テレビは増加に転じ、パソコンは増加幅が拡大したが、スマートフォン等の通信・通話使用料は減少幅が拡大した。
(ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比2.7%と増加に転じた(図表7)。
- 電気計算機等は増加幅が縮小したものの、通信機は増加に転じた。
- 官公需は前年同期比10.8%と増加に転じた。
(ICT輸出入)
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス1.2%と6期連続で減少した(図表8)。半導体等電子部品の増加幅が拡大したものの、半導体等製造装置は減少に転じた。数量ベースでは同2.5%と2期連続で増加した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比マイナス6.7%と3期連続で減少した(図表9)。通信機、半導体等電子部品の減少幅が縮小し、半導体等製造装置は増加に転じたが、電算機類(含周辺機器)が減少に転じた。数量ベースでは同マイナス2.9%と減少に転じた。
「InfoCom ICT経済アップデート」の主な内容
情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。情報通信の在庫循環分析
情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。
※ICT関連経済指標は、九州大学篠﨑彰彦研究室で開発された指標を、情報通信総合研究所で維持・更新し、必要に応じて改善しているものです。
情報通信総合研究所は、先端ICTに関する豊富な知見と課題解決力を活かし、次世代に求められる価値を協創していきます。
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