2020.9.1 ICT利活用 風見鶏 “オールド”リサーチャーの耳目

withコロナ時代のICT活用生活

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大により緊急事態宣言が発出されて、休業要請、リモートワーク、外出自粛が唱えられステイホーム生活を余儀なくされました。今月の本稿では、この間の私個人のICT活用について感じたことを述べてみたいと思います。我家のICT装備は、PC+光回線、スマホ(4G回線)+WiFi、タブレット(4G回線)+WiFiとこれにプリンターやデジタルカメラなどを付加して使い分けています。通信回線はブロードバンドが必要なので光回線を主にして適宜4Gモバイル回線を使っています。この位の情報通信設備が家庭にあれば、日常の活動にもよりますが、一応のテレワークも可能です。これらを駆使して自宅に籠って調べ物や原稿書きを続けてきました。

さらにプライベートにおいても、withコロナ時代の行動変容に合わせてICTを利用するケースが増えています。コロナ禍の拡大に伴って家族や友人知人と会うことを控えていたので、スマホやPCを使ってLINEのトークや音声・ビデオ通話、またZoomでの会合などで声や顔を確認し合ったり情報交換をして自宅引き籠り生活を乗り込えてきました。多くの人数や多地点での会合(顔合わせ)では、やはりPCでZoomを使ったTV会合が大活躍でした。リモートワークの場合だけでなく、Zoomの簡便さから家族間、友人知人間で数多く利用されていると思います。私も4地点に離れて生活している子供や孫達とは半年以上直接会ってはいませんが、Zoomで何回も顔を見ながら話をしています。直接会っての対話と違ってどうしても短時間になってしまいますが、結構満足できるレベルで会話と顔合せを楽しんでいます。特に優れものはLINEのビデオ通話で遠方の実家にいる義母と顔を見ながら話ができることです。PCはどうしても年寄りには敷居が高くなりますが、スマホを手元に持っていって利用できるビデオ通話は顔を見られるだけに安心を得られて助かっています。さらにLINEのトークにあるグループを活用して兄弟姉妹など複数の相手と会話や連絡をすれば効率よく近況や情報が伝わるのでお互いに安心することができます。

自宅引き籠りが続いて、通信回線を通じた家族や友人知人との連絡や情報交流の機会が増えるにつれてメールやLINEのトークなどでは十分に気持ちが伝わらないことがあり、電話で話をする時間も増えることになります。そうなると通信料金、特に定額制が普及していない通話料金の負担が気になります。特にモバイルの通話料金は固定回線より高いので使い分けに注意しながら利用しています。外出自粛・自宅待機の時間が長くなるだけにwithコロナ時代の日常生活における情報通信の役割は、これまで以上に大きくなってくると想定しています。また、withコロナ時代に向けての新サービスも出てくると思いますので大いに興味と関心を持っています。コロナ禍と同時に近年は洪水や猛暑などの災厄も多く発生しており、社会基盤としての情報通信の役割がますます大きくなっていると感じています。

withコロナ時代に生活するための核心は人と人との直接の接触を減らすこと、いわゆるソーシャル・ディスタンスを確保することに尽きますので、どうしても対面での直接の対話やコミュニケーションは減らさざるを得ません。こうした状況下でも必要な人と人とのコミュニケーションは仕事であれ、プライベートであれ、ICTの活用が必然です。電話はもちろん、ZoomやLINE、メール、ビデオ通話、さらにSNSなどを上手に組み合わせた個人向けや家族・友人知人間の通信を円滑に満足出来る品質で提供し確保していくことがwithコロナ時代の社会基盤となります。リモートワークの必要性やそのための情報通信環境については多くの報告があり、仕事の進め方やコミュニケーションの取り方、働き方と評価のあり方などさまざまな研究が進められている一方、個人の生活面でのICTの活用に関してはまだまだ十分な調査・研究はなされていません。そこにこそ、withコロナ時代の新しいサービスが生み出される基礎データが秘められているので、プライベートな利用者の声を聞き意向を収集して分析する必要性を感じています。例えば、外出自粛時の個人の消費行動の変化については、総務省の家計消費状況調査で明らかになっています。4月・5月の一世帯当りでみると消費支出全体は対前年で10%以上減少している一方で、ネット消費額は反対に10%以上増加していてネット消費を行った世帯の割合は5割以上に達しています。また、ネット消費の品目別では出前、医薬品、家電が前年同月比で2倍以上増加し、他方、旅費宿泊費やチケットが9割以上減少しています。このように個人の消費行動の変化の姿は明らかになっているものの、残念ながら、個人の情報通信の利用動向の変化に関しては政府レベルの統計調査はなく通信会社やプラットフォーマー企業なども個人のプライベートな利用状況を公表していません。withコロナ時代にどのような変化が現われているのかなどの分析結果が待たれます。もちろん、当事各社にとっては新サービス開発の基礎データともなるので、典型的な機密の経営情報ともなり得ます。機密情報とオープン情報の取り扱いについての認識合わせが業界と監督官庁で進められることを期待しています。私自身、今夏の暑さとさまざまな災害、コロナ禍への備えや対応を始め、遅れが目立つ孫達の学校での学習事情などについて、家族や友人知人とのコミュニケーションにこれまで以上にICTデバイスと通信回線を活用してきました。高いレベルとは言えないまでも最近の情報通信サービスをいろいろ学び、挑戦しました。withコロナ時代を乗り切るためのICT装備を考えてみるよい機会となりました。世の中ではリモートワークやネット利用の遠隔授業が急速に普及していて、これをwithコロナ時代のニューノーマル(新常態)にしようとする動きがあり、仕事のやり方、職場のあり方を始め、組織内や仲間・家庭でのコミュニケーションのあり様に関して、今後いろいろな施策や評価が行われると思います。withコロナ時代に合わせて私達の行動変容を促す方策なので、情報通信分野では通信量(トラフィック)の変化/増減だけでなく、通信品質や料金、またサービス内容やデバイス開発、ソフト開発など多様な取り組みが必要となります。人と人との接触通知アプリなどはwithコロナ時代ならではの新サービスですが、こうした個人行動データを利用する新サービスは数多く想定できますので、個人情報に関する人々の価値感にも影響を与えていくことでしょう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大は私個人のICT活用生活に対して今も大きな衝撃を与え続けています。

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