2019年12月13日掲載 ITトレンド全般 ICR研究員の眼

社会的課題解決に向けた5G利活用創出



5G総合実証実験

総務省は、各事業者と連携し、5Gの利活用による新たな市場創出に向けて、2017年度より総合実証試験を実施している。2017年度及び2018年度は、事業者からの提案に基づく実証テーマで、技術検証等を実施した。2019年度においては、前年度に開催した「5G利活用アイデアコンテスト」で地域から提案されたアイデアをもとに、5Gによる社会的課題に向けた実証に取り組んでいる。2020年度は、導入準備が進められている「ローカル5G」等、5Gによる地域課題解決に繋がる利活用モデルの技術実証が予定されている。

5G総合実証試験 概要

【図1】5G総合実証試験 概要
(出所:総務省資料)

各社の5G利活用に向けた取り組み

事業者は2020年3月以降の5G本格展開に向けて、パートナー企業等との連携による5Gでのソリューション創出に取り組んでいる。先述した2019年度の5G総合実証実験においては、8つの地域課題解決に力点を置いて実施されており、事業者も地域における社会的課題の解決を重視している。

NTTドコモ

NTTドコモは、2018年2月に「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の提供を開始し、約3,000のパートナーとのソリューション協創を進めている。同社は本プログラムを通じて、パートナー企業等に5G技術に関する情報提供やパートナー同士のワークショップの場を提供している。また、ドコモはパートナーに5G技術検証を行う「ドコモ5Gオープンラボ」を無償で提供しており、2019年9月の5Gプレサービス開始に合わせて11拠点に拡大し、5Gを活用した産業創出や社会課題の解決に向けた取り組みを加速するとしている。

KDDI

KDDIは、2018年9月に東京に「KDDI DIGITAL GATE」を開設し、パートナー企業やスタートアップ企業とともに5G・IoTによるソリューション創出に取り組んでいる。2019年秋には、地方創生や社会課題解決を図るため、大阪と沖縄へ拠点を拡大し、地域企業の新規事業創出をサポートするとしている。また、同社は、新中期経営計画(2020年~2022年度)で5Gによる地方創生の推進を掲げ、全国の60を超える地方自治体と地域連携協定を締結するとともに、2019年4月に30億円の「地方創生ファンド」を設立した。

ソフトバンク

ソフトバンクは、2018年2月に企業との価値共創をめざす「5G×IoT Studio」を開始し、5Gの実験機器で技術検証が可能な屋内トライアル環境を提供している。「5G×IoT Studio」のお台場ラボでは製造業や建設業、エンターテインメント業、放送業、小売業など業種別の5Gのユースケースをイメージしたデモンストレーションを展示している。ソフトバンクとトヨタ自動車の共同出資により設立したモネ・テクノロジーズは、2019年2月に次世代モビリティサービス提供に向け17自治体と連携する等、自治体との協力関係を拡大している。

楽天モバイル

楽天はeコマースの支援を中心に各地方自治体と協業を実施してきたが、2019年2月に地域創生事業を新設し、これまでのEC領域にとどまらず、楽天グループサービスを活用した地域創生に取り組んでいる。2019年5月にはテクノロジーを活用した地域の課題解決を考える「楽天地方創生サミット」を開催した。また、同社は、5Gに向けた取り組みとして、2019年4月に「楽天5Gコンソーシアム」を立ち上げた。

社会的課題の解決に向けて

社会的課題の解決に向けた5G利活用のアイデアを具現化するにあたって、検証環境整備等支援やパートナー企業と連携したソリューション創出等、通信事業者が果たす役割は大きいといえる。政府も、地方創生に関する「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づいて、情報・人材・財政面で地方を支援し、地域課題解決をめざすとしている。通信事業者、パートナー企業及び政府が連携し、日本発の地域課題解決モデルが確立され、国内外への展開が期待される。

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