2022.8.30 ITトレンド全般

ICT雑感:あの丘を駆け登って (Netflixを試してみました)

Andrés Rodríguez from Pixabay

「インターネット動画配信サービスの成長やテレビ番組のインターネット同時配信の開始などにより、放送と通信の境界がなくなりつつあり、……それと同時に、人々のメディア接触の形も変化している。[1]

放送・メディアを取り巻く環境の変化が言われていますが、確かに自分の家の中を見てみても、私はまだ割とテレビを観ていますが、妻のほうは最近とみにiPadでYouTubeなどの動画を観ていることが多いですし、台所などテレビから離れた場所では「NHKプラス」のアプリでニュースなどを観ているようです。

そんな今日この頃なのですが、最近ふとしたことがきっかけで、いま巷で話題になっているらしいドラマの存在を知り、「Netflix」を試してみようと思い立ちました。そのドラマはNetflix制作のオリジナルで独占配信のようなので、鑑賞するためには加入する必要があるのです。既に国内でも加入者数は500万人を超えているそうで、それだけの人たちがどんなコンテンツを楽しんでいるのかも、興味が湧きました。

まずは加入の手続きですが、ネットで下調べをしたうえで公式サイトにアクセスして、アカウントの登録を行いました。続いてプラン選択の画面が出てきましたが、画質と使用可能デバイス数の異なるベーシック、スタンダード、プレミアムの3つのコースがあります。もともと積極的にどっぷり視聴しようというつもりもないのですが、そこそこきれいな画像で観たいのと、妻が乗ってくるかどうかはわからないが、複数のデバイスが使えたほうがいいだろうと思い、松竹梅の竹=スタンダードを選択しました。

料金支払いの方法も指定し、とりあえずパソコンを使って視聴開始です(実は、我が家のテレビは相当古くてNetflixへのアクセスボタンがなく、また加入しているCATVでも配信はしていないので……)。

で、目当てのドラマですが、これもあまりにもベタで言うのも気が引けるのですが、『ストレンジャー・シングス』というドラマが面白く、世界中にフリークがたくさんいるということで、とにかくこのドラマを最新シリーズまで制覇するのを一つの目安としてみました。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』とは……

2016年に配信を開始、現在までにシーズン4まで、全34話が制作・配信され、Netflixの制作したドラマの中でも圧倒的な人気を誇っている。

1980年代の米国、ウィル、マイク、ダスティン、ルーカスのオタク少年仲間が暮らすインディアナ州の田舎町ホーキンス。ある日ウィルが突然失踪し、その家族や友人、警察官たちが不可解な事件に巻き込まれていく。同じ頃、超能力を持つ謎の少女エルが街に現れるが、彼女は町にある国立の研究所で密かに行われていた超自然現象研究の被験者だった。一連の奇怪な事件は、その研究の過程で「裏側の世界」へのゲートが開いてしまったことで、その世界に住む怪物が起こしていたのだ。ウィルは裏側の世界から救出されるが、その後もホーキンスの町は裏側の世界に浸食されていく……。

とりあえずシーズン1の8話を一気に観てしまいました。ホラー、SF、青春ドラマなどいろいろな要素が詰め込まれていて、単純にこんなジャンルと割り切れないのですが、少年たちのつながりを中心に物語が進んでいくこともあり、私自身は、ダークな「スタンド・バイ・ミー」、というような印象を持ちました。

シーズン2以降も、裏側の怪物の本格的登場、ソ連の超能力研究参戦……とストーリーは展開し、ドラマの中では80sのカルチャー、とりわけ当時の音楽がフィーチャーされているらしいので、このお盆の休暇の間に最新シリーズまで完走したいと思っています(この原稿は8月10日現在で書いています)。最近契約者数の減少が伝えられ、先行きに不安の声も出ているNetflixですが、そんな中にあってこのドラマは、キラーコンテンツとしてしばらくは展開していくのでしょう。

このようにして、SVOD(Subscription Video On Demand)と呼ばれるネット動画配信サービスを、遅まきながら体験しましたが、思いのほか使い勝手がいいことに感心しました。特に、コンテンツをタブレットなどの端末にダウンロードして、オフラインでも視聴できるというのはいいですね。オフィスに出社する際に行き帰りの電車の中で観ることもできて、夢中になると乗り過ごしてしまいそうです(「通勤」でなく「出社」と書きましたが、弊社もNTTグループの一員として、勤務場所は原則自宅となり、通勤という概念がなくなりました)。

複数端末で視聴可能なことを妻にも伝えて、視聴方法を教授したところ、早速面白そうな韓国ドラマを見つけて楽しんでいるようで、既に「解約するときは事前に相談してね」と言われています。ひょっとしたら、このまま夫婦でサブスク視聴の沼にはまり込んでしまうかもしれません。

ところで、今回私がNetflixを試してみようというきっかけになったドラマ「ストレンジャー・シングス」ですが、その存在を何で知ったかというと、シーズン4で英国の女性シンガーソングライター、ケイト・ブッシュ(Kate Bush)の曲「Running Up That Hill」(邦題:「神秘の丘」)という曲が使われていて、世界中でヒットしているというニュースに触れたからです。ケイト・ブッシュといえば、私がまだ高校生の頃、「嵐が丘」(Wurthering Heights)という、エミリー・ブロンテの小説をテーマとした曲でセンセーショナルなデビューを飾り、80年代を通じて独特の存在感で異彩を放っていました。「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の時代でありながら米国では全く受けなかったのですが、37年前に発表された曲のヒットで、ようやく米国でも広く知られるようになったみたいですね。

というわけで、私も放送と通信の融合のふもとに立ち、これからいくつかのコンテンツに触れてその丘を駆け登ってみようと思います。今より少し高いところに登ったら、世の中の映像コンテンツについて、もう少し幅広い見方ができるかもしれません。

(出典:イラストポップ illpop.com)

参照記事等

  1. 1.船津宏輝「放送・メディア業界を取り巻く市場環境の変化 ~進む放送と通信の融合とコロナ禍におけるインターネット動画配信サービスの成長」(InfoCom T&S World Trend Report 2021年9月号)
  2. 清水憲人「『Netflix契約者数減少』の読み方」(InfoCom T&S World Trend Report 2022年6月号)
  3. 船津宏輝「海外放送・メディア市場概況 ~視聴者動向と動画配信サービスから考察する米国・英国メディア市場トレンド」(InfoCom T&S World Trend Report 2022年7月号)
  4. 長谷川朋子「『ストレンジャー・シングス』が救うNetflixの危機」(東京経済ONLINE 2022年8月3日)

[1] 船津宏輝「放送・メディア業界を取り巻く市場環境の変化 ~進む放送と通信の融合とコロナ禍におけるインターネット動画配信サービスの成長」(InfoCom T&S World Trend Report 2021年9月号)

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。



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