2023.1.30 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

ICT雑感:なーんとなくじゃ、うまくならないよ!

(出典:いらすとや)

新しい年になってもうひと月が経とうとしている時期に新年の御挨拶というのも少し気が抜けていますが、本年も何回か寄稿させていただくことになるかと思います。おつきあいいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

昨年後半あたりから、世の中のいろいろな「サブスク」のことが気になり、どのようなサービスが生まれてきているのか調べたり、実際にサブスクのサービスに加入して体験したりしてきました。そういえば、私がもう40年近く週末の楽しみとして細々続けている競馬の世界でも、レースの参考となる各種のデータや映像を、毎月定額のサブスクで提供しているサービスがあります。その中でも代表的なのが、JRA(日本中央競馬会)の関連会社が提供している「JRA-VAN」というもので、もう30年の歴史がありますが、昨年から流れている、女優の川栄李奈さんが出演するCMが結構気に入っています。

(とある町中華屋で、若い男がスマホを見ながら馬券の検討をしている。「これかな~」とつぶやいているところに、川栄さんが颯爽と登場し、ビビる一言。「なーんとなくじゃ、うまくならいよ、競馬!」

「君に足りないもの、分かる?」「勘……かなぁ?」「裏づけよ」そして、JRA-VANを使えば、レースの傾向をデータで分析して示してくれると解説。

果たしてデータが示すとおりのレースの結果に。「マジかよ!」「競馬もアップデートしなきゃ!」)

こういうサービスが展開されていることは知っていましたが、改めてコンテンツを調べてみました。

【図】「JRA - VAN TRY」スマホ版のトップページ

【図】「JRA - VAN TRY」スマホ版のトップページ
(出典:https://try.jra-van.jp)

JRA-VANのサイトを訪れてみると、初心者か経験者か、どの程度の情報がほしいのかによって、いくつかのメニューが示されています。スマホ向けとして、シンプル入門版の「TRY」、動画視聴も含め多彩な機能を備えた「スマホアプリ」、パソコン向けとして、30年間の競走データをもとに、データマイニングによるレースのシミュレーションまで見せる「ネクスト」、さらには200本以上の競馬予測ソフトと連携した「データラボ」の4つのコースです。主催者サイドが具体的な勝ち馬の予想や買い目の指南をすることはできませんが、それ以外のメニューは何でもありという感じですね。

では、その中で最もシンプルな「TRY」をもう少し詳しく見てみましょう。このメニューでは、タイム型AI指数(過去の出走実績)、対戦型AI指数(過去の対戦成績)、枠順の有利不利、そのコースに強い騎手の4つのテーマについて、AIが指数化して見せてくれます。あとは各指数を見て、自分なりの作戦を立てることになります。また、自分で予想を組み立てるのが難しいという人向けには、「らくらく投票」という機能があり、上記指数の中から好みのテーマを選んでAIにお伺いを立てると、おすすめの買い方を提示してくれるようになっています。次の週末にでも、ちょっと試してみよう、そんな気になりました。

なお、このサービスはあくまで予想に資するデータ等を提供するものですが、プロの予想屋の予想そのものを見たい人は、今はネット上でもその手のサイトがたくさんあるので、そちらを見るといいでしょう。ただし馬券は自己責任で。胴元の取り分が存在する競馬では、長い目で見て勝つことは極めて困難であることをお忘れなきようお願いします。

ところで、このCMにはもう一つバージョンがあって、そちらでは川栄さんが「ひとに左右されてたら、うまくならないよ、競馬」とのたまわっています。このセリフについては、年末に友人が馬券で悔しい思いをしたらしいので、少し紹介します。

(競馬歴の長い私の友人は、馬を見る目は悪くないのだが、どうにも馬券が下手である。有馬記念を外し、何とか最後は的中させたいと、最終日の中山競馬に来ていた。メインレースは、翌年のクラシックを目指す2歳馬の精鋭が集まるJRA最後のG1「ホープフルステークス」だ。

狙いの1頭は、3日前の有馬も制したルメールが乗るキングズレインにしていた。重賞実績がないせいかあまり人気がないが、ここまで堅実な走りを見せているし名手の腕に賭けてみよう、と。そしてもう1頭の軸をどうするか……重賞勝ちや派手な末脚を披露してきた馬たちが人気になっているが、注目したのは、未勝利戦を勝ち上がったばかりの身で果敢に重賞に挑戦し、先行して4着に粘ったドゥラエレーデ。直線の短い中山ならもっとやれるのでは? 鞍上はカザフスタン出身で、今秋初来日してなかなかのパフォーマンスを見せているムルザバエフ騎手だ。

だが……同馬のオッズを見ると単勝90倍の14番人気で、さすがに軸馬に起用するのは無理筋かなあと考え直し、もう1頭の軸馬には結局、豪快な差し脚で重賞を制していたガストリックを、予想紙の前向きなコメントも参考にして「やっぱり、この辺かな」と選んだ。ドゥラエレーデはヒモ(軸に対する相手)に回し、他にベテラン横山典弘の乗るトップナイフなども加えた。

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(出典:いらすとや)

さてレースは、横山が逃げてムルザバエフが2番手につける。意外とペースが上がらず前の2頭がスイスイと進んでいく一方で、4コーナーを回ってもガストリックなど差し馬たちは中段でもがいている。そしてトップナイフが逃げ切るかと思われたゴール寸前ドゥラエレーデが並びかけ、ハナ差差し切ってG1をゲットした。最後外からキングズレインが追い込んで3着に入り、3連複の配当は23万円超えという結果に。初志を貫徹していれば大穴馬券を取れていたのでは……

「ひとに左右されてたら、うまくならないよ、競馬」頭の中で李奈さんの声がぐるぐる回っていた……。)

昨年2022年、日本も世界も思いもよらない展開で混迷を極めた1年でしたが、今年も引き続き先の読めない状況が続きそうです。そんな中で、有用なデータを探し出し、「なーんとなく」ではなく、「ひとに左右され」ない状況判断で先行きを切り開いていきたいと思います。もちろん、競馬も含めて、です。

 

(追記)

上の文で、「次の週末にでもJRA-VANを試してみよう」と書きましたが、早速使ってみました。

 1. まずサイトを呼び出し、対象レースの出馬表を確認します。

2. 次に、AIの指数を見てみますが、今回はいくつかの指数の中から、過去の出走実績をもとに導き出された「タイム型AI指数」の順位を参考とすることにしました。圧倒的1番人気の6番の馬の順位は5番目で、4番、8番、9番などが上位に来ています。

3. AIはどのように順位をつけているのでしょうか? 別の画面に行くと、こんなグラフが出てきました。各馬がどのくらいのタイムで走るのかを、過去のパフォーマンスから予測しているようです。

4. ここはAIに乗ってみるのも面白いと思い、馬券はこのように、指数1位の4番から2位、3位の8番と9番に流しました。さて……

(出典:①~③「JRA-VAN TRY」のサイト(https://try.jra-van.jp)、④筆者の馬券購入画面を撮影)

(出典:①~③「JRA-VAN TRY」のサイト(https://try.jra-van.jp)、④筆者の馬券購入画面を撮影)

(出典:①~③「JRA-VAN TRY」のサイト(https://try.jra-van.jp)、④筆者の馬券購入画面を撮影)

レースの結果は、指数1位の4番サクセスシュートが見事1着! しかし8番、9番の馬は、最後の直線で不利を受けたこともあり後方に敗れ、2着は1番人気の馬が確保しました。外れはしましたが、検討に当たっての参考データとしてはそれなりに使えそうだなという感触を得ました。他の分野でも言われていますが、AIにすべて頼ることなく、AIと共生しつつ馬券予想を深めていければ、と思います。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。

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