情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2020年7-9月期がまとまりましたのでご報告いたします。
2020年7-9月期のポイント(前年同期比)
2020年7-9月期のICT経済は前年同期比マイナス4.9%と2期連続で減少し、減少幅が拡大した。ICTサービスが同マイナス5.0%と減少幅が拡大したことによる。ICT財は同マイナス4.6%と7期連続で減少したが減少幅は縮小し、在庫調整局面にある。
需要サイドは、ICT消費は同1.2%増と増加を維持したが、増加幅は縮小した。ICT設備投資(民需)は新型コロナによる先行き不透明感から2期連続で減少し、同12.6%減となった。一方、ICT輸出は8期連続で減少したものの回復傾向にある。ICT輸入は減少に転じている。
月次ベースでは、9月はICT輸出、ICT財は増加に転じたが、ICTサービスの減少幅は拡大した。新型コロナの感染再拡大の中、ニューノーマルが定着するまでの調整過程はしばらく続くと考えられ次期以降、ICT経済に回復の道筋が見えてくるか注目される。
2020年7-9月期の動向
(ICT経済総合)
国内ICT経済は前年同期比マイナス4.9%と2期連続で減少した。前期に比べて1.2ポイント減少した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比マイナス5.0%と2期連続で減少した(図表3)。
- •受注ソフトウェア、その他の情報処理・提供サービス業は減少幅が拡大した。ゲームソフトは増加幅が縮小した。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比マイナス4.6%と7期連続で減少した(図表4)。
- •集積回路が増加に転じ、電子部品の増加幅が拡大したが、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置は減少に転じた。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比マイナス10.1%と減少が継続した(図表5)。
- •民生用電子機械の減少幅が縮小したが、電子デバイスは減少幅が拡大した。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比1.2%と19期連続で増加した(図表6)。
- パソコンは増加幅が縮小し、スマートフォン等の通信・通話使用料は減少幅が縮小した。
(ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比マイナス12.6%と2期連続で減少した(図表7)。
- 電気計算機等の減少幅が拡大したが、通信機は減少幅が縮小した。
- •官公需は前年同期比マイナス24.8%と減少に転じた。
(ICT輸出入)
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス0.7%と、8期連続で減少した(図表8)。半導体等電子部品、半導体等製造装置は増加に転じ、通信機、電算機類の部分品は減少幅が縮小した。数量ベースでは同3.7%と増加に転じた。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比マイナス4.0%と減少に転じた(図表9)。半導体等製造装置は増加幅が拡大したが、通信機は減少に転じ、半導体等電子部品は減少幅が拡大した。数量ベースでは同2.7%と2期連続で増加した。

図表2 ICT関連財・サービス総合指標の推移

図表3 第3次産業活動指数に占めるICT関連サービスの寄与度

図表4 鉱工業生産に占めるICT関連品目の寄与度

図表5 ICT関連在庫循環図(四半期)

図表6 家計消費支出(家計消費状況調査)に占めるICT関連消費の寄与度

図表7 設備投資※(民需、除く船舶・電力・携帯電話)に占めるICT関連機種の寄与度

図表8 輸出総額に占めるICT関連輸出(品目別)の寄与度

図表9 輸入総額に占めるICT関連輸入(品目別)の寄与度
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