2023.6.20 ICT経済

ICT経済は2期連続でマイナス成長【InfoCom ICT経済アップデート】

【2023年1-3月期のポイント(前年同期比)】

2023年1-3月期のICT経済は、総合指標が前年同期比マイナス0.8%と2期連続でマイナス成長となった(2022年10-12月期:同マイナス0.3%ら0.5ポイント悪化)。ICTサービスは、前年同期比1.1%増と4期連続で増加したものの(10-12月期:同1.1%増と横ばい)、ICT財は、同マイナス6.9%と2期連続で減少した(10-12月期:同マイナス4.6%から2.3ポイント悪化)。

今期のICT経済は、財生産では集積回路、半導体・フラットパネル製造装置等の減少幅が拡大し、ICT財の在庫では電子デバイスが増加に転じ、増加幅が拡大した。一方、ICTサービスは、情報サービス業が牽引し、4期連続で増加したものの、ICT関連財の落ち込みをカバーするには至らなかった。2023年4-6月期以降のICT経済は、国内ではコロナ禍からの経済活動の正常化を背景に人手不足対応投資等の継続が期待される。ただし、世界的な物価高と金融当局の引き締め政策による需要の低迷とそれによる景気の減速がICT輸出・財生産の下押し圧力となるため先行き不透明感は続く。

図表1 ICT関連経済指標の推移

図表1 ICT関連経済指標の推移

需要サイドをみると、ICT消費は7期連続で減少した。スマートフォン等通信・通話使用料、インターネット接続料の減少が継続した。一方、ICT設備投資(民需)は通信業の通信機への投資増加と、金融業等一部業種の投資回復により、増加に転じた。

ICT輸出は10期ぶりに減少に転じた。数量ベースでは4期連続のマイナス成長となった。背景には、海外景気の減速によるスマートフォンやパソコン需要の低迷、米国の中国への輸出規制強化の影響を背景にした半導体製造装置の減少が挙げられる。一方、ICT輸入は10期連続で増加した。ただし、数量ベースでは6期連続のマイナス成長となった。輸入は、金額ベースでは増加、数量ベースではマイナスが継続しており、為替の変動による影響を考慮する必要がある。数量ベースでは1-3月期は前年同期比で全品目が減少した。

【2023年1-3月期の動向】

(ICT経済総合)

  • 国内ICT経済は前年同期比マイナス0.8%と2期連続で減少した。前期(10-12月期)に比べて0.5ポイント悪化した(図表2)。

(ICTサービス)

  •  ICTサービスは前年同期比プラス1.1%と4期連続で増加した。前期(10-12月期)と増加幅は同じであった(図表3)。
  •  受注ソフトウェア、ソフトウェアプロダクトの増加幅が拡大したものの、通信業は減少幅が拡大した。

(ICT財)

  • ICT財は前年同期比マイナス6.9%と2期連続で減少し、前期(10-12月期)に比べて2.3ポイント悪化した(図表4)。
  • 集積回路、電子部品、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置は減少幅が拡大した。

(ICT在庫)

  •  ICT在庫は前年同期比プラス16.0%と増加し、前期(10-12月期)に比べると増加幅が3.4ポイント拡大した(図表5)。
  •  電子デバイスは増加に転じ、集積回路の増加幅が縮小した。

(ICT消費)

  • ICT消費は前年同期比マイナス1.1%と7期連続で減少したが、前期(10-12月期)に比べると1.5ポイント改善した(図表6)。
  • スマートフォン等の通信・通話使用料は減少幅が縮小し、スマートフォン等の本体価格は増加幅が拡大、パソコンは増加に転じた。

(ICT設備投資)

  •  民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比プラス1.0%と前期の減少から増加に転じた。前期(10-12月期)に比べて1.7ポイント改善した(図表7)。
  • 通信機は増加幅が拡大し、電子計算機等は減少幅が縮小した。
  •  官公需は前年同期比プラス3.3%と3期ぶりに増加に転じた

(ICT輸出入)

  •  ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス0.4%と10期ぶりに減少した(図表8)。半導体等製造装置は減少に転じ、電算機類(含周辺機器)、半導体等電子部品は増加幅が縮小した。数量ベースでは同マイナス15.7%と4期連続で減少した
  •  ICT輸入(金額ベース)は前年同期比プラス7.1%と10期連続で増加した(図表9)。通信機、半導体等電子部品、半導体等製造装置は増加幅が縮小した。数量ベースでは同マイナス10.3%と6期連続で減少した
図表2  ICT関連財・サービス総合指標の推移

図表2  ICT関連財・サービス総合指標の推移


図表3 第3次産業活動指数に占めるICT関連サービスの寄与度

図表3 第3次産業活動指数に占めるICT関連サービスの寄与度


図表4 鉱工業生産に占めるICT関連品目の寄与度

図表4 鉱工業生産に占めるICT関連品目の寄与度


図表5 ICT関連在庫循環図(四半期)

図表5 ICT関連在庫循環図(四半期)


図表6 家計消費支出(家計消費状況調査)に占めるICT関連消費の寄与度

図表6 家計消費支出(家計消費状況調査)に占めるICT関連消費の寄与度


図表7 設備投資※(民需、除く船舶・電力・携帯電話)に占めるICT関連機種の寄与度

図表7 設備投資※(民需、除く船舶・電力・携帯電話)に占めるICT関連機種の寄与度


図表8 輸出総額に占めるICT関連輸出(品目別)の寄与度

図表8 輸出総額に占めるICT関連輸出(品目別)の寄与度


図表9 輸入総額に占めるICT関連輸入(品目別)の寄与度

図表9 輸入総額に占めるICT関連輸入(品目別)の寄与度


参考 ICT関連経済指標に採用した項目

参考 ICT関連経済指標に採用した項目

 

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【関連サイト】ICT経済分析

「InfoCom ICT経済アップデート」の主な内容

  • 情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
    財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。
  • 情報通信の在庫循環分析
    情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。

    ※ICT関連経済指標は、九州大学篠﨑彰彦研究室で開発された指標を、情報通信総合研究所で維持・更新し、必要に応じて改善しているものです。

株式会社情報通信総合研究所 ICT経済分析チーム
主席研究員 手嶋彩子
主任研究員 山本悠介、鷲尾哲
研究員 張怡

※本稿の内容に関するお問い合わせは、ICT経済分析チームまでお願いいたします。

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