2024.12.12 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

5年ぶりの新体制に移行する欧州連合(EU)と 情報通信政策の行方

欧州連合(EU)は今年、5年に1度の欧州議会選挙と欧州委員会(EC)の委員交代という大きな変革の年であった。本稿では、それを機にEUの情報通信政策がどう変わるのか、そして、予想される変革のポイントは何かについて概説する。なお、本稿の情報は執筆時の2024年10月下旬の状況に基づいている。

1.EUで5年ぶりの欧州議会選挙

EUでは2024年6月6日から9日にかけて、加盟27か国の市民の直接選挙により、5年に1度の欧州議会選挙が行われた。議員定数は720名(前回選挙時は751名)であるが、概ね各国の人口に応じて定数が決められており、世界最大級の直接選挙となっている。その結果を、駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジンであるEU MAG誌(2024年7月12月号「2024年欧州議会選挙の結果(概要)」)が詳しく伝えているので、以下、主にその内容を参照しながら説明する。

EU MAG誌によれば、事前の予想どおり、EUに懐疑的な保守・極右勢力が伸長したが、全体としては親EUの3会派が過半数を維持した。投票率は51.08%であり、前回(2019年)の50.66%とほぼ同じであった。親EUの3会派とは、中道右派の「欧州人民党(EPP:Group of the European People’s Party)」、中道左派の「欧州社会民主進歩同盟(S&D:Group of the Progressive Alliance of Socialists and Democrats in the European Parliament)」、中道リベラルの「欧州刷新(RE:Renew Europe Group)」である。それに対するEU懐疑勢力の中心は「欧州の愛国者(Patriots for Europe)」、「欧州保守改革(ECR:European Conservatives and Reformists Group)」である。

その議席数を多い順に表1に示したが、親EU3勢力は720議席のうち401議席で全体の約56%を占めたものの、EU懐疑勢力が議席順位で第3位、4位を占めるなど躍進した。その状況について、EU MAG誌は「『欧州保守改革』が78議席に伸長。また、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相らが新たな政党グループ『欧州の愛国者』を創設し、フランスの極右政党『国民連合(RN)』などが合流して7月8日に正式発足した。同グループには、RNをはじめ『アイデンティティーと民主主義』に所属していた複数の政党を含む12加盟国の13政党が参加しており、計84議席となって一気に第3勢力に浮上した」と説明している。

【表1】欧州議会選挙の結果-獲得議席の上位5政党(下線斜体がEU懐疑派)

【表1】欧州議会選挙の結果-獲得議席の上位5政党(下線斜体がEU懐疑派)
(出典:EU MAG誌から情報通信総合研究所が作成)

欧州委員会(EC)の委員長(President of the European Commission)のUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏(以下、「フォン・デア・ライエン委員長」)は、最大党派であるEEPに属しているが、今回の選挙結果を受けて、6月9日、他の中道派政党(S&D、ECRなど)と連携して、極右・極左勢力に対抗すると宣言した。

2.欧州委員会(EC)も5年ぶりの新体制へ

欧州議会と同じく、欧州委員会(EC)も5年に1度の刷新の年を迎えた。加盟国の首脳から構成される欧州理事会(European Council)は、同議会選挙が終了した直後の6月27日、フォン・デア・ライエン委員長の2期目の続投の方針について合意した。7月18日には、欧州議会がその方針を承認して、同委員長の2029年までの続投が決定した。投票(無記名)の結果は、全720票のうち賛成が401票、反対は284票であった。それを受けて、同委員長は新たなEC委員候補の絞り込みに着手し、その候補名簿を9月17日に発表した。EC委員は加盟国から1名ずつ選ばれるので、同委員長(ドイツ出身)を含めて全27名である。欧州議会が10月の本会議で承認すると、欧州理事会は多数決で次期のEC委員を任命する。11月初旬には新たな欧州委員会が発足する見込みである。なお、欧州議会は委員候補の差し替えを求めることもあり、前回(2019年)は3人が差し替えられている。

3.ECの情報通信政策のキーマンが交代

次期のECにおいて、情報通信、デジタル問題の筆頭責任を負う「技術主権、セキュリティ、民主主義」担当の執行副委員長(Executive Vice-President)(候補)は、表2のとおり、Henna Virkkunen氏(フィンランド、元同国運輸大臣:写真1)である。同氏は現在、欧州議会議員であり、同議会の「産業・研究・エネルギー(ITRE)委員会」のメンバーでもある。同氏に加えて、Teresa Ribera委員、Stéphane Séjourné委員も情報通信問題に関与する(いずれも候補)。

【表2】情報通信政策を担当するEC委員(候補)

【表2】情報通信政策を担当するEC委員(候補)
(出典:ECリリースから情報通信総合研究所が作成)

今期(2019-2024年)の情報通信政策を主導してきた、デジタル問題担当のMargrethe Vestager執行副委員長(VirkkunenおよびRibera両氏の前任:写真1)と、域内市場担当のThierry Breton委員(Séjourné氏の前任:写真2)は、いずれも退任となる(Breton氏は既に9月に辞任、理由は後述)。Vestager氏は2期10年を勤め上げることになるが、第1期(2014-2019年)の競争担当委員の時代からプラットフォーム規制に非常に熱心であり、Google、Appleなどの巨大プラットフォーマーに対する競争法(独禁法)訴訟を矢継ぎ早に展開しながら、2020年代には厳しいプラットフォーム事前規制法である「デジタル市場法(DMA)」と「デジタルサービス法(DSA)」などの成立に尽力してきた。なお、Vestagar氏の前任者として、2004年から2014年に競争担当委員、デジタルアジェンダ担当委員(すなわち、情報通信担当委員)を務めたNeelie Kroes氏(オランダ選出)も、巨大プラットフォーマーに対して厳しい摘発を行ったことで知られている。Vestager氏を日本のメディア(読売新聞、日経ビジネスなど)は「GAFAの天敵」と表現しているが、Kroes氏も「鉄の女(Iron Lady)」として知られた英国Margret Thatcher首相になぞらえて、「鉄のネリー(Steely Neelie)」と呼ばれた人物であった。

【写真1】ECの新旧の情報通信政策のキーパーソン―今期のMargrethe Vestager執行副委員長(左)と、 次期のHenna Virkkunen執行副委員長(候補)(右)

【写真1】ECの新旧の情報通信政策のキーパーソン―今期のMargrethe Vestager執行副委員長(左)と、次期のHenna Virkkunen執行副委員長(候補)(右)
(出典:EC、欧州議会の公式HPのプロフィール写真)

【写真2】DNA構想について発表するThierry Breton委員(2023年10月10日)

【写真2】DNA構想について発表するThierry Breton委員(2023年10月10日)
(出典:本人のLinkedInより)

他方、フランス人のThierry Breton氏は、2002年から2005年にFrance Telecom(現Orange)のCEOを務め、その後の2年間は同国の経済財務産業大臣としてシラク大統領を支えた経験を持っており、情報通信産業の実務と政策の両面に精通した人物である。そのため、Vestager副委員長がプラットフォーム産業関連の政策に注力してきたのに対して、Breton氏は、よりネットワーク産業に近い、EUの電気通信法(「欧州電子通信法典(EECC:European Electronic Communications Code)」)の執行や改訂などに深く関与してきた。EUは2018年に成立したEECCの改訂を目指しており、2025年にも改訂法案が策定される予定になっている。しかし、Bloomberg紙(日本語版)の2024年9月17日の記事「マクロン大統領が欧州委員を交代、フランスの要職獲得を交渉」などによれば、Breton氏はフォン・デア・ライエン委員長と対立する場面が多く、前述のとおり、9月16日に辞表を提出してECを去っており、後任のSéjourné委員がその役割を担うこととなった。Séjourné氏は39歳の若さであるが、2024年1月から9月まで、フランスの外務大臣を務めた人物である。フランス政府が彼をBreton氏の後任候補に据えたのは、引き続き同国がEC内で重要なポストを維持したいという意図があったためと言われている。

4.EUは10年ぶりの通信法改訂作業に突入

欧州委員会(EC)の5年ぶりの新体制の発足と合わせるように、EUは現行の電気通信法(EECC)の改訂を目指している。EECCは2018年にEUレベルで成立したが、そのEU法規類の体系における位置づけは「Directive(指令)」であり、そこに書かれた規定(条文)は加盟国が守るべき大枠の指針を示したものである。そのため、個々の加盟国は自国の既存の通信法を改訂して、EECCの内容を移植する必要があった。その移植期限は2年と定められていたが、期限を守らない国も多く、ECから違反審査を受けるケースもあった。今回のEECCの改訂作業について言えば、ECの草案の策定が2025年と予想されており、それから欧州議会とEU理事会(加盟国の通信担当大臣で構成)の長い審議が続くため、EUレベルでの成立は2028年頃になると予想される。ECが前回、EECC草案を策定したのが2015年であったことに照らすと、EUは10年ぶりに電気通信法の改訂を行おうとしていることが分かる。

EUはEECCの改訂作業に先行して、「Digital Network Act(DNA)」と呼ばれる法案の策定を進めている。DNAという名前が初めて明らかになったのは、写真2のBreton委員の2023年10月10日のLinkedInを通じた「我々の電気通信規制のDNAを再定義する『デジタルネットワーク法』(‘Digital Networks Act’ to redefine the DNA of our telecoms regulation)」という発表であった。ここで、遺伝子情報(DNA)とDigital Networks Act(DNA)とが掛詞になっているのは言うまでもない。ECはDNA構想の発表に先立つ同年2月から5月にかけて、変化する技術と市場の状況、それらが情報通信分野にどのような影響を与えるかについて意見を集めるために、情報通信分野とそのインフラストラクチャーの将来に関する広範な諮問(「The future of the electronic communications sector and its infrastructure」)を行った。その諮問結果の発表の場において、Breton委員の上述の「DNAという名前の法律を策定していく」という発言が飛び出したのである。本稿執筆時点(2024年10月)において、EECC改訂とDNA策定の関係は明確になっていないが、両者の内容に関連性も大きいことから、最終的に作業や結果が統合される可能性もある。

ECは2024年2月になり、上述の諮問結果を盛り込んだ「How to master Europe‘s digital infrastructure needs?(「欧州のデジタルインフラニーズをいかにして満たしていくのか?」) 」というタイトルの白書の草案(以下、「デジタルインフラニーズ白書草案」)を発表した。Breton委員は白書草案の発表に際して、「デジタルネットワーク・インフラストラクチャーは、競争力と回復力のある欧州にとって重要である。白書草案は、投資、規制の枠組み、セキュリティという3つの柱に重点を置いた、将来のデジタルネットワーク法(DNA)の基礎を築くものである。将来のデジタルネットワーク・インフラストラクチャーの構築に必要な投資を解き放つには、真のデジタル単一市場のための公平な競争の場を作り出す必要がある」とコメントしている。EU法規類の体系における白書の位置づけは、将来の行動や政策の提案を含む文書であり、ECが欧州議会やEU理事会を含む利害関係者との議論の開始を目指すものである。白書に法的な拘束力はないが、ECの今後の想定される行動についてのシグナルを送るものである。ただし、将来の立法提案が白書草案から逸脱する可能性はあり得る。

5.EUの白書草案が示す通信法規類の改訂の方向

EUのデジタルインフラニーズ白書草案は具体的に何を提案しているのか。まず、ECは現在の情報通信分野における課題を表3のように整理している。ここで、(1)の「コネクティビティ(connectivity)」とは、情報通信ネットワークを通じたデジタル世界への「接続」を意味している。当然、固定や無線のアクセス回線の問題も含まれており、最近のEUの情報通信政策の最大のキーワードの一つである。また、(3)は次世代ネットワーク投資のための資金調達、市場規模や事業者規模の最適化、公平な競争に関する課題などを取り上げている。そして、(4)はセキュリティや通信に絡む安全保障問題に関連している。

【表3】ECの「デジタルインフラニーズ白書草案」の骨子

【表3】ECの「デジタルインフラニーズ白書草案」の骨子
(出典:ECの「デジタルインフラニーズ白書草案」より情報通信総合研究所が作成)

ECは表3の課題解決のために、以下の3つの提案を行っている。

(第1の提案)3Cネットワーク(Connected、Collaborative、Computing)の構築

(第2の提案)デジタル単一市場の完成

(第3の提案)欧州のための安全で強靭なデジタルインフラ

さらに、これらの提案の実現に向けて、12個の「シナリオ」が用意されている。ここで、ECの使っているシナリオという言葉は、その中からどれか1つ(もしくは複数)をピックアップする選択肢ではなく、取り組むべき並列的な施策を意味している。

6.電気通信事業者の将来の規制のポイント

今回の白書草案は将来の大きな方向性を示すという位置づけであり、上述の12のシナリオの内容はまだ一般的、理念的なものも多い。しかし、通信事業者のネットワークに対する規制に関して、日本の議論にも参考になる、いくつかの注目すべき記述が並んでいる。それらを筆者の判断で抽出すると次の4点となる。

(1) 銅線アクセス回線の廃止

(2) 光ファイバーを含むアクセス製品に対する規制の見直し

(3) デジタルネットワークのグリーン化

(4) デジタルインフラに関するユニバーサルサービス

以下、(1)~(4)について詳述する。ただし、これらはあくまでも草案段階での提案であり、諮問結果を反映して変更される可能性は残っている。

(1)銅線アクセス回線の廃止

ECは銅線アクセス回線の廃止期限について、加入者の80%については2028年まで、残りの20%は2030年までとすることを提案している。2030年という期限は、EUが目指す下記のブロードバンド目標(カバレッジ目標)とも一致している(表4)。

【表4】EUの2030年までのブロードバンド目標

【表4】EUの2030年までのブロードバンド目標
(出典:EUの「デジタル10年政策プログラム」(2022年制定))

ECによれば、銅線アクセス回線の廃止の加速を支援するために、光ファイバー事業者に従来の銅線アクセス回線の卸売料金の値上げを認めるなどのインセンティブ付与が考えられる。しかし、それには競争維持のための十分な保護手段が伴うべきだとしている。

(2)光ファイバーを含むアクセス製品に対する規制の見直し

ECは2000年代の初頭から、通信ネットワークの相互接続サービス市場においては競争評価(「市場分析」と呼称)を実施し、ある市場に市場支配力(SMP:Significant Market Power)を有する事業者の存在が認められた場合には、当該SMP事業者に是正措置(すなわち事前規制)を課すように求め、逆に、そのような事業者が存在しない場合には、規制を撤廃しなければならないとしてきた。ECは2003年以降、競争評価を行うべき市場の勧告リストを発表してきたが、リスト改訂の度に対象市場数を段階的に削減してきた。今回の白書草案は、今後、ECは勧告リストを発行しない可能性があると述べている。

ただし、ECが勧告リスト対象の市場数をゼロにしても、直ちに加盟国の事前規制がすべて自動的に緩和されるわけではない。加盟国規制機関は既存規制を撤回する前には、それが妥当であることを証明するために、新たな競争評価を実施する必要がある。さらに、ある市場が競争法の原理に基づく「3つの基準テスト」(①高くて永続的な参入障壁が存在、②今後、効果的な競争に向かう傾向の欠如、③競争法だけで競争問題に対処するには不十分)に該当する場合には、加盟国の規制機関は引き続き、その市場に事前規制を課すことが可能としている。なお、ECは勧告リスト撤廃の代替案として、物理的な土木インフラ(電柱、管路、マンホール、とう道など)へのアクセスの卸売市場のみは、規制を行う可能性があるとしている。

(3)デジタルネットワークのグリーン化

欧州はもともと、地球温暖化防止のためのグリーンディール政策全般に熱心であるが、グリーンICTについても同様である。欧州議会内には行き過ぎたグリーンディールに反対する勢力も存在し、前述のとおり今回の選挙でその勢力が伸長した。ただし、フォン・デア・ライエン政権は引き続きこの問題に熱心である。最近、EUが欧州中央銀行元総裁のMario Draghi氏に委託して、2024年9月に発表された、いわゆるDraghi報告書(正式名称は「欧州の競争力の未来(EU competitiveness: Looking ahead)」)が話題になっている。同報告書はその中で、EUの従来のグリーンディール政策の見直し、高度化を提唱しているが、引き続きその推進は必要であると指摘している。そのような環境のもと、ECは銅線アクセス回線のタイムリーな廃止とフルファイバー環境への移行、そして、EU全域でのネットワークの効率的利用を通じて、デジタルネットワークのグリーン化を促進するとしている。

(4)デジタルインフラに関するユニバーサルサービス

現行のEU通信法(EECC)においては、提供すべきユニバーサルサービスとして「固定地点における音声とブロードバンド」がセットで指定されており、両者のユニバーサルサービス規制は区分されていない。また、それらの提供が一定の品質基準(遅延、損失、速度など。国によって異なる)をクリアしていれば、その実現手段の技術区分(FTTHか無線かなど、あるいは回線交換かIP交換かなど)は問わないという「技術中立的」な方針を取っている。EUは白書草案において、この既存のユニバーサルサービス制度を踏まえて、「EU域内のあらゆる場所で、誰もが、手頃な料金(アフォーダビリティ)で、高速デジタル接続を利用できるようにすべきである」、「低所得者を含め、EU域内のあらゆる場所で、誰もが利用可能なインターネット接続を備えた高品質の接続へのアクセスを保証する」という点を再確認している。

7.まとめ

今後のEU通信政策の行方について、当面、欧州議会議員とEC委員の交代による大きな政策変更はなさそうである。プラットフォーム規制に関しては、過去20年間にわたりKroes委員、Vestager委員が築き上げてきた路線の継承が予想される。両委員はプラットフォーマーに対してタフな相手として知られてきたため、今回、担当委員が変わることで変化を予想する向きがあるかもしれない。しかし、EUの競争法におけるプラットフォーマー摘発事案の判例も積みあがっており(時にEC敗訴の場合もあるが)、また、デジタル市場法(DMA)、デジタルサービス法(DSA)に代表される確固たる事前規制法も成立していることから、EUでは「属人」ではなく「構造」としての厳しいプラットフォーム規制が続いていくとみるべきであろう。

他方で、ネットワーク事業に関連する規制では、今後もECが次世代ブロードバンド網の整備という目標達成に最大の焦点を置き続けるのは間違いない。日本は高速ブロードバンドアクセス回線(FTTHや5G)の敷設でEUに先行し、大半の加盟国のカバレッジ(整備率)を大きく上回っている。しかし、日本も通信事業者の銅線アクセス回線の廃止はこれからの課題であり、それに合わせて、銅線、光のアクセス製品に対する相互接続、卸売規制をどう見直すかが問題になると思われるため、EUの議論は大きな参考となる。また、現在、日本のユニバーサルサービス制度は音声とブロードバンドが別体系となっているが、EUは両者一体のユニバーサルサービス制度を確立しており、今後、それをどう維持、運営、高度化していくのか興味深い。さらに、より大きな課題として、今回は詳しく解説する余裕がなかったが、ネットワーク投資の拡大、デジタル国際競争力の強化、デジタル経済安全保障の確立など、EUの通信政策議論の今後から目が離せない。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。

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