情報銀行が本格展開、新商品・サービス開発の契機となるか

購買履歴等の様々な種類の個人のデータを本人の同意のもとで預かり、そのデータを必要とする第三者の企業に提供する「情報銀行」。10月19日(金)に総務省で開催される「『情報銀行認定』に関する説明会」には定員100名を超える多数の参加希望があったらしく、情報銀行事業への関心は高いといえそうです。
まもなく情報銀行の認定が始まる
情報銀行の具現化に向けた検討は2016年半ばから政府中心に進められてきました。
昨年7月、「IoT/ビッグデータ時代に向けた新たな情報通信政策の在り方」第四次中間答申で、「情報信託機能を担う者」つまり、情報銀行について「民間の団体等によるルールの下、任意の認定制度が実施されることが望ましい」とされ、今年6月に「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」が取りまとめられました。
この指針に沿って一般社団法人日本IT団体連盟が、情報銀行の認定を申請する事業者を審査・認定することになっています。
IT企業、銀行、広告会社等が情報銀行へ名乗り
この2年余りの間、複数の民間事業者が情報銀行に名乗りを上げました。たとえば、富士通、日立、大日本印刷、三菱UFJ信託銀行、電通テック等です。このうち三菱UFJ信託銀行は、ユーザ側のアプリ「DPRIME」の画面イメージを公表(※1)しているほか、電通テックが9月3日に設立した新会社「マイデータ・インテリジェンス」は情報銀行事業のイメージをコンセプトムービー(※2)で紹介しています。
加えて、社歴は浅いもののDataSign社やNIPPON Platform社(旧NIPPON Pay社)も意欲的に取り組んでいます。DataSign社は、データの流れを可視化し自分のデータを管理·活用できる世界の実現を目指し、9月3日からパーソナルデータ管理サービス「paspit」を提供開始。また、NIPPON Platform社は、9月25日に「情報信託銀行コンソーシアムを設立し、参画金融機関を募って仲間づくりを進めています。個人起点ではないアプローチがユニークです。
ユーザ(生活者)に還元できる価値創出を
いわゆる銀行に様々なタイプがあるように、情報銀行にも特定の地域に根差したサービスに強い、あるいは健康やエンタメといった特定の分野のサービスに強みを持つ等、様々なタイプの情報銀行が登場すると見込まれています。そのため、ユーザは様々な情報銀行の中からどの情報銀行と付き合うのか付き合わないのか、選択が求められます。
ユーザに還元される対価は、情報銀行を通じて個人のデータを利用する企業が新商品・新サービス開発等で新たに生み出す価値に依存します。銀行が融資先企業の経営に関与するかのように、情報銀行が個人のデータを利用する企業の新たな価値創出に関与していくポジションをとるのかどうか。情報銀行を事業面からみた場合、注目すべき論点の一つになると考えています。
※1「IT戦略本部 データ流通・活用ワーキンググループ 第2回」の資料1-1を参照。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/detakatuyo_wg/dai2/gijisidai.html
※2 株式会社 マイデータ・インテリジェンスのホームページを参照。
https://www.mydata-intelligence.co.jp/value/
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