2021年2月19日掲載 ICT経済 ICTエコノミーの今

シェアリングエコノミーの驚異的な成長!-2021年シェアリングエコノミー調査報告 第2回-

2021年シェアリングエコノミー調査報告の第2回は、その成長性を取り上げる。

 
 

今回の予測によれば、シェアリングエコノミーの10年後の市場規模は、14兆円を超える[1](図1)。業界規模ランキング24位の不動産業界15兆円[2]に近く、日本市場全体の上位を占める主要な業界の1つになると言っていいだろう。増加額12兆円は携帯電話サービス業界12.5兆円に匹敵する規模だ。生活の必需品となった携帯電話サービス並の規模が10年間で増えるというのは驚異的な成長性といえる。

図1 シェアリングエコノミー市場規模予測

図1 シェアリングエコノミー市場規模予測
出典:「2021年シェアリングエコノミー調査報告書・データ集」(情報通信総合研究所)

成長の背景に何があるのかを見ていこう。

成長するサービス

図2に市場規模をカテゴリ別に分解して示した。各カテゴリと内訳の説明は巻末の表にまとめている。

図2 カテゴリ別シェアリングエコノミー市場規模予測

図2 カテゴリ別シェアリングエコノミー市場規模予測
出典:「2021年シェアリングエコノミー調査報告書・データ集」(情報通信総合研究所)

 

30年度を大きい順にみると、「スペース」(4.3兆円)が最大であり、現在の清涼飲料(4.6兆円)に迫る成長が見込まれる。このうち手数料がサービス事業者の売上となる。手数料20%と想定した場合[3]の売上8千億円は雑貨業界と同規模である。市場規模の内のサービス事業者の売上だけでも、メジャーな業界とそん色ない規模までの拡大が期待できる。

内訳は「スペース(民泊)」「スペース(その他)」共に大きい。

「スペース(民泊)」は自宅の部屋等を旅行者に貸すサービスである。新型コロナ感染症(以下、新型コロナ)によってインバウンド市場が縮小したが、一方で人と人との触れ合いの価値が再認識されたため、今後の成長期待は大きい。

「スペース(その他)」は駐車場・イベントスペース・会議室等を時間単位で貸すサービスであり、新型コロナがきっかけとなって生じたテレワーク向けニーズ増加が続く見込みである。

「モノ」3.3兆円、「スキル」2.7兆円はホームセンター業界(3兆円)と同程度である。双方とも手数料率10%想定とすると、サービス事業者の売上3千億円は紳士服業界と同規模である。

内訳で大きいのは「モノ(売買)」と「スキル(非対面型)」である。

「モノ(売買)」はメルカリ等フリマアプリが主である。手軽に不用品の売買が可能であり、シェアサービスの中で知名度が高い。20年度で最大の規模を誇っており、順調な拡大が見込まれる。

「スキル(非対面型)」オンラインでの料理や語学等のレクチャーや、記事執筆あるいはデータ入力を行うものである。新型コロナをきっかけとしてユーザが増えており、成長が続く見込みである。

成長の背景

20~30年度に伸びるサービスに共通した特徴は多様な働き方・住み方にフィットすることだ。新型コロナをきっかけとして社会がオンライン化する中で、場所と時間に縛られない働き方・住み方が可能なことが知れ渡るようになってきた。個人毎の好みに合わせて場所と時間を自由に使える生活に価値を感じた人は、たとえ新型コロナが撲滅されたとしても、元に戻りたいとは思わないだろう。多様な働き方・住み方を求める人は増えていくとみられる。

「スペース(その他)」を活用すれば様々な地域で仕事ができる。「スキル(非対面型)」を使えばどこにいても隙間時間で仕事ができる。両者を組み合わせることで多様な働き方・住み方が可能となる。

また、「スペース(民泊)」を使えば地方の暮らしを体験しながら仕事ができる。ワーケーション利用に加えて、他拠点居住先の下見等のニーズが伸びるだろう。

「モノ(売買)」はどこにいても買い物が可能であり、不用品の処分にも使える。

他のサービスも、様々な個人が提供するため、多様なニーズにマッチする。シェアリングエコノミー市場が拡大する背景には、新型コロナをきっかけに生じた場所と時間が自由な生活に対する多様なニーズに対応できる利点がある。

以上みてきたように、シェアリングエコノミー市場は日本全体の上位を占める規模まで拡大する。新型コロナをきっかけとして生じた多様なニーズに対応できることが成長の原動力となる。

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今回は他業界との市場規模比較やシェアサービス事業者の売上の類推を行ったが、活用したのは調査結果のごく一部である。詳細は「2021年シェアリングエコノミー調査報告書・データ集」(https://www.icr.co.jp/publicity/3703.html)にまとめているのでご覧いただきたい。上記データ(報告書では課題解決シナリオと表記)の他に、現状の成長ペースを前提とした市場予測(ベースシナリオ)、新型コロナによるユーザの増加、ユーザの特性やシェアサービス事業者との連携のメリット等を記載している。

リンクバナー「2021年シェアリングエコノミー調査報告書・データ集」

次回、3回目はユーザの特性の1つ幸福度の高さを取り上げる予定である。

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(参考)シェアサービスの説明とサービス例

(参考)シェアサービスの説明とサービス例

[1] これはシェアリングエコノミーの認知度の低さ等の課題が全て解決する前提での予測である。

[2] 業界動向サーチ(https://gyokai-search.com/)からの引用。以下、他業界の市場規模は全て同様。

[3] 手数料率は主要事業者を参考に想定した。以下も同様。ばらつきがある場合には低めに想定した。手数料以外の収入は考慮していない。

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