2021年6月28日掲載 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

世界の街角から:沖縄で見かけたICTトレンド



コロナ禍ではあったが、首都圏の緊急事態宣言が解除となった2021年3月下旬に沖縄へ向かう機会があった。あまり積極的に外出できる状況ではなかったが、その際の沖縄の様子や、いくつか移動の際に立ち寄った印象深かったポイントなどをご紹介したい。

コロナ禍の沖縄

豪華なホテルもいいが、質素なホテルでもワクワクが止まらない得な性分だ。今回宿泊したのは那覇市の中心「国際通り」から徒歩10分程度の、古いが立地は悪くなく、部屋の数や広さもそこそこあるホテルだ。ロビー内の張り紙などで、修学旅行や運動部の合宿などでしばしば利用されている様子が窺える。優雅なホテルライフというわけにはいかないが、良心的な価格なうえにWi-Fiがあるというから文句はない。加えて、事前にホテルの情報を検索しようとする際に、数文字入力した時点で「〇〇ホテル 幽霊」というキーワードがレコメンドされてきたので、大いに好奇心を揺さぶられたことも、ホテルを選んだ理由として付け加えておこう。

ホテルのWi-Fi環境は、Web会議などに十分対応できるものであった。また沖縄全体としてもフリーWi-Fiがよく整備されており旅行者にとっては非常に便利である。

国際通りもコロナ前と比べると随分静かな様子であったが、宣言明けに伴い首都圏や関西から旅行で来たと思われるカップルや学生グループが散見された。外国人に関しては、以前は海外からの観光客が目立っていたが、今回は沖縄在住と思しき白人の家族を数組見かけた程度であった。

【写真1】居酒屋で頂いたグルクン(タカサゴ)の唐揚げ

【写真1】居酒屋で頂いたグルクン(タカサゴ)の唐揚げ
(出典:文中掲載の写真はすべて筆者撮影)

沖縄県では、2月28日までの県独自の緊急事態宣言に伴い、飲食店には午後9時までの時短要請が出されていたが、3月1日以降は解除された。しかし、国際通りの多くの飲食店は自主的に時短営業を続けており、テイクアウトメニューにも力を入れていた。街の様子から、沖縄県民の感染症に対する意識の高さが窺えた。その恩恵で、食事を早めに終えて早めに寝るという規則正しい毎日を過ごすことができた。

 

糸数アブチラガマ

たまたま1日完全オフの日があったため、島内をまわることにした。

最初は本島南部にある「ひめゆり平和祈念資料館」に向かったが、2004年以来17年ぶりのリニューアル工事と重なり、不運にも見学できなかった。4月12日に新資料館は展示を新たにし、オープンしたとのことだ。ここにはまた訪れる機会をつくりたいと思う。
(参考)ひめゆり平和祈念資料館 http://www.himeyuri.or.jp/JP/top.html

【写真2】糸数アブチラガマの入場券とパンフレット

【写真2】糸数アブチラガマの入場券とパンフレット

そこで目的地を変更し、沖縄戦で住民や負傷兵、重症患者が置き去りにされた自然洞窟である「糸数アブチラガマ」を急遽訪ねることにした。しかし到着すると、ここはガイド無しでの入場はできず、ガイドは事前に予約が必要とのことであった。ところが、親切にも「今から案内してくれる近所に住むガイド」を探してくれるとのことで、30分後にはガイドさんの案内でガマ(沖縄の方言で洞穴の意味)を見学することができた。ヘルメットを装着し、電灯を照らし進む。地上の光は届かず、狭い場所では途中何度も頭をぶつけた。コウモリらしき生き物の気配を強く感じる。たまにしたたり落ちる水の音が、鮮明だ。

この洞窟で戦時中に起きたことについてはウェブサイトをぜひご覧頂きたい。多くの命が失われ、またいくつかの命を救ったガマの奥の暗闇。ここで感じたことを書き表す上手い言葉が見つからない。多くの方に、ぜひ訪ねて欲しい場所である。
(参考)糸数アブチラガマ https://abuchiragama.com/

世界遺産でのスマホによるデジタルガイド

糸数アブチラガマの後は、車で本島中部にある「勝連城跡」へ向かった。ここは、世界遺産となっている「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」に含まれる5つのグスク(城)のうちのひとつである。首里城などほかの4つのグスクは訪れたことがあったので、今回でコンプリートとなる。

勝連城は曲線美が素晴らしく、天空の城と呼ぶにふさわしいたたずまいが印象的である。

【写真3】世界遺産の勝連城跡

【写真3】世界遺産の勝連城跡

沖縄のグスク跡は、世界遺産に登録されて以降、観光用の整備も進んでいる。勝連城跡の入り口には、フリーWi-Fiの利用方法とともに、スマホによるデジタルガイドの案内がある。これを用いると、主な見どころについて、音声や360度のパノラマ画像などで解説してくれる仕組みだ。日本語以外にも、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語に対応している。このデジタルガイドへは、現地からだけではなく、誰でもどこからでもインターネットでアクセスできる。

ここも新型コロナの影響か来訪者はまばらであったが、オンシーズンに観光客が押し寄せた場合もデジタルガイドが活躍しそうである。
(参考)勝連城跡デジタルガイド http://katsurenjo.jp/

【写真4】フリーWi-Fiとスマホによるデジタルガイドの案内版

【写真4】フリーWi-Fiとスマホによるデジタルガイドの案内版

【写真5】勝連城跡の音声ガイド

【写真5】勝連城跡の音声ガイド

見学中に、「ドローン使用禁止」の注意書きを見つけた。これは、電池切れなどのトラブルで何㎏もあるドローンが落下することに伴う、人身および文化財(勝連城跡自体)への事故を懸念するものであろう。うるま市によると、私的利用の範囲であってもここでドローンを飛ばすには、ドローン保険証の写しとともにうるま市の教育委員会文化財課への申請が必要とのことである。

【写真6】ドローン使用禁止の注意書き

【写真6】ドローン使用禁止の注意書き

DETONATOR MART

勝連城跡へ向かう途中で立ち寄りたいコンビニがあった。とはいえ、ただのコンビニではない。宜野湾市にある「ファミリーマート ベイサイド宇地泊店」は、日本で最も有名なプロゲーミングチームのひとつであるDeToNatorの、ロゴや選手を外装に施した店舗で「DETONATOR MART」と名付けられている。2019年11月に発表されeスポーツ界隈では大きな話題となった。この店舗はDeToNatorのスポンサー企業である株式会社沖縄ファミリーマートの協賛企画である。

DETONATOR MARTの中では、通常のファミリーマートの商品が並ぶ一角に、eスポーツ専用のコーナーが設けられており、DeToNatorのTシャツやマスクなどのグッズのほか、DeToNatorとコラボするロジクールのゲーミングデバイス(マウスやキーボードなど)が売られている。駐車場には、レンタカーが多く、グッズ売り場を覗き込む来客が後を絶たない。日本でeスポーツが市民権を得るにはもう少し時間がかかると言われている。しかし沖縄という日本の南端から、eスポーツが少しずつ浸透していく様子を感じることができた。

【写真7】DETONATOR MART

【写真7】DETONATOR MART

【写真8】グッズやゲーミングデバイスの販売コーナー

【写真8】グッズやゲーミングデバイスの販売コーナー

コロナ禍ということもあってか、飛行機の座席は行きも帰りも大半が空席だった。

帰りの機内で、沖縄で体験したことや出会った人、食べたものなどを思い出しながらゆったりと帰京した。そして、ホテルに幽霊が出ることなどすっかり忘れていることに気づいたのも、帰りの機内のことであった。

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