2022.8.10 ITトレンド全般

世界の街角から:中国東北部港町大連の食生活

Pete Linforth from Pixabay

大連はどんな場所?

中国遼寧省大連市は、中国東北部の遼東半島の最南端に位置する港町で、成田空港から約3時間(関西国際空港から約2時間)で行けます(図1)。面積は12,574平方キロメートル(新潟県相当)で、人口は603.6万人(2021年末)です。大連は地理的に三方を海に囲まれ、気候が良く、四季があり、夏の平均最高気温が26.4℃で、とても過ごしやすいです。冬でも港が凍らず、北東アジアの重要なハブ港の一つでもあります。また、大連の海岸線総延長は2,211キロメートルに達し、さらに538の離島もあり、海洋資源が豊富です。捕獲される海産物も有名で市民の食卓に欠かせないものとなっています。本稿では、地元出身者でもある筆者の視点から港町、大連の食生活をご紹介したいと思います。

【図1】大連市の地理的な位置

【図1】大連市の地理的な位置
(出所:Google マップ)

家庭料理

まずは家庭料理からご紹介します。写真1は筆者が大連にある実家に帰省した際、家族が集まった時に母が作ってくれた夕飯の料理です。魚や貝類などの海鮮料理がメインですが、お肉と野菜の料理も揃っていて全部で10品になります。これは、「十全十美」(日本語訳:すべてが揃って完璧であること)という縁起の良い意味合いもあり、春節やお祝いの時、家族団らんの時によくある料理の品数です。大連はアワビやサザエ、なまこなどの海産物の名産地であり、お祝いの時などによく出される料理になります。食材の料理の仕方には家庭ごとの好みがありますが、大連で獲れた貝類の品質はとても良いので、筆者の実家ではサザエなどの貝類は蒸して、そのままの味を楽しむことが多いです。また、なまこを使う料理が大連料理の特徴の一つです。例えば、写真1の右下にある料理のように、なまこをホタテとエビと一緒に炒めるなどの食べ方があります。さらに、ウニもよく獲れるので、そのまま食べても美味しいですが、写真2のように、茶碗蒸しにする食べ方もあります。

【写真1】家族の集まりの時の夕飯

【写真1】家族の集まりの時の夕飯
(出典:文中掲載の写真はすべて筆者撮影)

【写真2】ウニの“茶碗”蒸し

【写真2】ウニの“茶碗”蒸し
(出典:文中掲載の写真はすべて筆者撮影)

魚についても独特な料理があります。例えば、ふぐを煮てから、煮汁と一緒に一晩冷蔵庫で冷やし、ふぐに含まれたゼラチンで固めて、ふぐの煮こごりを作ることもあります。食べる時は好みでニンニク醤油タレをつけて食べると美味しいです。魚のほか、豚の皮で作った煮こごりもあり、特に中国の東北部地域では冬の時期によく食べられる料理になります(写真3、4)。

【写真3】ふぐと太刀魚

【写真3】ふぐと太刀魚

【写真4】ふぐの煮こごり

【写真4】ふぐの煮こごり

【写真5】朝ごはん:魚の干物、アワのおかゆ、トウモロコシ粉の中華パン

【写真5】朝ごはん:魚の干物、アワのおかゆ、トウモロコシ粉の中華パン
(注:サザエとアワビは前日の夕飯の残り物で、普段の朝食では食べません。)

また、大連では魚の干物もよく食べられます。筆者の実家では、母がよくカレイやヤツメウナギなどの干物を作ります。水分を完全に乾燥させるのではなく、半分ぐらい水分が残るようにした干物になります。食べる時は蒸して食べるのが一番美味しいです。特に、朝ごはんの時に、蒸した干物をおかずとして、アワのおかゆやトウモロコシ粉で作った中華パンなどの主食と一緒に食べることが多いです(写真5)。

 

外食

次は大連の外食についてご紹介します。やはり港町だけに、海鮮料理のレストランが多く、市民に愛されています。特に最近人気があって大連ならではの料理といえば、ウニ餃子と海腸(ユムシ)餃子が挙げられます。中国では、様々な具材の餃子があり、具材にはご当地の食材が使われていることが多いです。大連は海産物が美味しいので、鯖の餃子やウニの餃子、ユムシの餃子がご当地餃子になります。中でも、ユムシ餃子はなかなか大連以外のところでは見られないものです。ユムシは干潟などに生息している海産無脊椎動物で、食感がホルモンに近いため、大連の方言では「海腸」と呼ばれます。ユムシをニラと一緒に餃子の具材として入れると、くさみもなく、美味しく食べられます。また、中国の餃子の皮は日本の餃子の皮より厚くてもちもちしていて、焼いて食べるのではなく、茹でて食べるのが一般的です(写真6、7)。

【写真6】ウニ餃子

【写真6】ウニ餃子

【写真7】「海腸」(ユムシ)餃子

【写真7】「海腸」(ユムシ)餃子

【写真8】羊肉の串焼き

【写真8】羊肉の串焼き

大連の地元の人にはお肉の料理も人気です。特に人気のあるお肉の料理として、羊肉の串焼きがあります。これは大連ご当地の料理ではなく、中国では一般的に人気のある料理です。羊肉を鉄の串で刺して、クミンと唐辛子をお肉に撒いて、炭火で焼いて食べます(写真8)。クミンの香りと羊肉の味の組み合わせが絶妙に美味しく、筆者は注文する際にいつも「クミン多めに」と頼んだ上、食べる時にさらにテーブルに置いてあるクミンの粉をかけてから食べます。また、串焼きのお店では、串焼きを自分のテーブルで焼肉のように自分で焼くか、厨房で焼いてもらうかを選ぶ方式がほとんどですが、自分で焼く場合はこまめに裏返しながら焼く必要があります。最近では、自動回転式の串焼き機を設置しているお店もあり、気軽に串焼きを楽むこともできます。

また、大連では日本料理のお店も数多くあります。昔から大連に進出している日本企業は多く、現地には日本人小学校も設けられており、日本との交流が多い都市です。写真9は大連市街地中心部のショッピングモールにオープンした日本料理のお店です。ここではお寿司や定食、日本のビール、日本酒などが提供されており、料理の味も特に違和感がなく美味しいお店です。

【写真9】大連にある日本料理のお店

【写真9】大連にある日本料理のお店

料理の他、ドリンクについてもご紹介したいと思います。中国ではミルクティーがポピュラーなドリンクで、どこに行っても必ずミルクティー・ステーションがあります。ミルクティー・ステーションではミルクティーだけでなく、漢方ハーブティーやジュースなど様々なドリンクが販売されています。最近では、サトウキビジュースも販売され、お客さんの目の前でサトウキビを機械に入れてしぼりたてのジュースにしています(写真10)。また、「美団外売」などのデリバリーアプリを使って、アフタヌーンティーの時にドリンクを注文することが多いです。中国では、オンラインデリバリーが発達しており、配送のスピードが早く、配送料金も安く、多くの人が利用しています。写真11は筆者がデリバリーアプリで注文したドリンクですが、配送料金は4.1元(約83円)でした。ちなみに、デリバリーアプリでは、料理や飲み物だけでなく、日用品、お花、医薬品などのデリバリーも可能です。

【写真10】しぼりたてのサトウキビジュース

【写真10】しぼりたてのサトウキビジュース

【写真11】デリバリーアプリで注文したグレープフルーツジュースとカフェラッテ

【写真11】デリバリーアプリで注文したグレープフルーツジュースとカフェラッテ

【写真12】マクドナルドの注文タッチパネル

【写真12】マクドナルドの注文タッチパネル

お店においても早い時期からデジタル化が進んでいます。写真12は筆者が2018年2月に、大連のマクドナルド店内で撮影したタッチパネル式注文機です。タッチパネルで注文した後、スマートフォンの支払いアプリのQRコードでスキャンすれば、支払いも完了です。4年後の今はさらにデジタル化が進化しているかもしれません。

 

地元の人も訪れる観光スポット

最後は、グルメ以外に地元の人も訪れる、大連の新しい観光スポットをご紹介します。大連といえば、空から見ると星の形をしている、アジア最大の広場「星海広場」などが有名ですが、最近では、市街地の東部の港湾エリア「東港エリア」が新たに開発され、オフィスビルやおしゃれなお店などが次々とオープンし、2019年の夏季ダボス会議もこのエリアで開催されました(写真13)。地元の住民もここで海の風景を眺めながら散歩したり、自転車などを借りて海沿いでサイクリングしたりすることができます。夜になると、音楽噴水ショーも上演され、一日中楽しめるところです(写真14)。

【写真13】「東港エリア」のオフィスビル、ダボス会議開催地

【写真13】「東港エリア」のオフィスビル、ダボス会議開催地

【写真14】「東港エリア」で散歩している市民

【写真14】「東港エリア」で散歩している市民

2020年初頭までは、成田空港や関西国際空港など日本各地の空港から大連への直行便が毎日運航されていましたが、コロナの影響で便数が激減し、行き来が不便になりました。大連への行き来が容易になったら、また帰省して、大連の面白いところをご紹介したいと思います。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。



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