2020年2月14日掲載 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

国内中堅・中小企業のIT商材導入状況・ニーズ



いわゆる“働き方改革”や“業務の効率化/省人化”、“生産性向上”が、我が国の社会経済が直面する大きな課題となるなか、中堅・中小企業(以下、「SMB企業」)においても、IT商材の導入・活用により、自社が直面する事業・経営課題を解決していこうとする機運が高まっている。

今後、SMB企業向けビジネスの拡大にあたっては、SMB企業が直面する事業・経営課題を踏まえ、どのような顧客層に、どのようなIT商材ニーズが存在するのかといった、市場ニーズの趨勢を掴むことが肝要である。

そこで本稿では、当社が実施した「国内企業ユーザにおけるIT商材導入状況等に関するアンケート調査」(2019年10月28日~2019年11月5日実施)の調査結果にもとづき、SMB企業おけるIT予算・投資動向、およびIT商材・光アクセスサービスの導入状況・ニーズを概観しつつ、今後のSMBビジネス戦略の方向性について論じる。

IT予算・投資動向

SMB企業のIT予算・投資動向を、企業規模別(SOHO層、中小層、中堅層別)に集計したものが図1である。

IT予算・IT投資領域の状況

【図1】IT予算・IT投資領域の状況
(出典:文中掲載の図はすべて当社調査)

図1上段は、2020年度のIT予算の増減計画(対2019年度)である。それによれば、IT予算の増額を計画している企業の割合は、SOHO層(年商5億円未満)で17%、中小層(年商5億~50億円)で40%、中堅層(年商50億~500億円)で50%程度となっており、今後も、中堅層を中心としたIT投資の伸長が期待される。

次に、図1下段は、(IT予算の増額を計画していると回答した企業が)今後3~5年間に、どのような領域でのIT投資を計画しているのかを整理したものである。

それによると、「サーバ/クライアント機器(PC、スマートフォン/タブレット端末、仮想化、シンクライアント等)」、「業務用アプリケーション」領域での投資意向が高いことが窺える。近時の「働き方改革」や「業務の効率化」、「生産性向上」といった社会的な潮流や課題対応にマッチするようなIT商材への投資が加速しそうだ。

IT商材導入状況・ニーズ

ここからは、SMB企業におけるIT商材の導入状況・ニーズについて概観する。

図2は、IT商材の導入状況、および導入ニーズを整理したものである。

IT商材導入状況

【図2】IT商材導入状況

まずIT商材の現在の導入状況をみると、「定型業務の支援・自動化ソリューション(RPA、AI-OCRなど)」、「監視・防犯ソリューション(ネットワークカメラなど)」等のIT商材の導入率は、SOHO層に比べて、中小・中堅層で高く、中小・中堅層が、SMB市場におけるIT商材導入を牽引していることがみてとれる。

次に、今後のIT商材の導入ニーズ(「今後、導入の必要性は感じているが、現在は導入していない」と回答した企業の割合)に目を転じると、SOHO層、中小層においても幅広いIT商材で中堅層に匹敵する程度の導入意向がみられ、IT商材市場の裾野の拡大が見込まれる。

なお、SMB市場における今後のIT商材の導入拡大にあたっては、導入効果の訴求や、ユーザニーズに応じた機動的な料金水準・プラン設定、商材スペックの設定はさることながら、商材調達時の手続きの容易化や、導入後の運用サポートといった商材導入「前」「後」の取り組み施策の構築も、併せて重要になるものと思われる。

光アクセスサービスの導入ニーズ

光アクセス回線市場においては、近年、「auひかり(KDDI)」、「コミュファ光(CTC)」、「NURO光(SNC)」等の各社が、5G/10Gの「超」高速光サービスの提供を開始し、同市場においては通信速度の高速化が、サービス差別化の一つとなっている。

そのような「超」高速光サービス(1Gbps以上)も含めた光サービススペックに対するSMB企業の導入ニーズをみたものが次ページ図3である。それによると、1G超光サービスに対しては、SOHO~中堅層のいずれのユーザ層においても顕著な差異はみられず、幅広い企業層でのニーズが窺える。

今後の光サービススペックへのニーズ

【図3】今後の光サービススペックへのニーズ

なお、その他のニーズでは、中小・中堅層においてはSOHO層に比べて、「ネットワークセキュリティの向上、「低遅延性」、「ネットワーク設定の変更の容易さ」等の付加サービスに対するニーズが高いことが特徴的である。

このように、「超」高速光サービス(1Gbps以上)に対しては幅広い企業層での導入ニーズがみられるが、どのようなシーンで同サービスの活用が見込まれるのであろうか。それをみたものが、図4である。

図4は、「超」高速光サービス(1Gbps以上)の導入意向者が、どのようなシーンでの活用を想定しているのかをみたものであるが、「映像・動画配信(4K/8K配信等)」、「監視、防犯・見守り」、「Web会議・ビデオ会議」といったシーンでの活用意向が高い。総じて、映像・動画配信系サービスとの親和性か高そうだ。

光回線の想定利用用途

【図4】光回線の想定利用用途[NW高速化ニーズ層]

今後のSMBビジネス戦略の方向性

本稿では、SMB企業におけるIT投資動向、並びにIT商材、および光アクセスサービスの導入状況・ニーズを展望した。

最後に、今後のSMBビジネス戦略の方向性について論じたい。

まず、先述したように光アクセスサービスについては、「高速化」がトレンドなっていることを踏まえ、光アクセス回線のスペック向上(磨き上げ)が将来的には競争力の源泉になるものと思われる。

そのうえで、業務効率化・見える化、監視・防犯ソリューションといったニーズの高いIT商材と、光アクセスサービスとのクロスセルを拡大させていくことが重要となりそうだ。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。

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