2020年6月15日掲載 InfoCom T&S World Trend Report

世界の街角から:ミャンマー ~久しぶりに帰ってみた

2019年の3月と10月にミャンマーへ2回、一時帰国をしていました。ミャンマーへ帰るのは2014年以来です。特に10月は修士論文の現地調査のため、2週間ほど滞在しました。ここではミャンマーの概要、ヤンゴン(Yangon)の街の様子を中心に、久しぶりに帰って感じたことを紹介していきます。

ミャンマーの概要

ミャンマーはあまり日本では知られていないので、まず簡単な紹介をします。ミャンマーは中国、インド、バングラデシュ、タイやラオスなどの国々と隣接しており、国土面積は67.6万平方km(日本の約1.8倍)です。長年英国の植民地だったこともあり、その影響が強く残っています。人口は約5,300万人で、公用語はビルマ語ですが、地域ごとで言葉や文化が異なり、約135の民族から構成されている多民族国家です。今回の帰国で私が訪れたのは、ミャンマー最大の都市で、ミャンマー経済の中心であるヤンゴン市(以下、「ヤンゴン」)です。

ヤンゴンは2006年までは首都でしたが、当時の軍事政権により首都がネピドーに移された後も、ミャンマーの経済的中心としての位置を維持し続けており、近年の経済成長に伴って、地方からの出稼ぎ労働者が新たなチャンスを求め、流入しています。

 ヤンゴンには色々な見所がありますが、私個人的にはヤンゴンに来ると必ず行くところがあります。それはシュエダゴン・パゴダ(Shwedagon Pagoda)です。

【写真1】シュエダゴン・パゴダ 夜の光り輝く姿

【写真1】シュエダゴン・パゴダ 夜の光り輝く姿
(出典:文中掲載の写真は、一部記載のあるものを除きすべて筆者撮影)

 

シュエダゴン・パゴダはヤンゴン中心地に位置するパゴダ(寺院)であり、約2,500年前に建てられたとされています。ミャンマーを代表するパゴダであり、ミャンマー人にとってはとても神聖な場所です。ミャンマーは仏教国であり、国民の約9割は仏教徒なのです。シュエダゴン・パゴダは一年じゅう国内外の各地からの多くの観光客で賑わっています。お昼の姿も良いですが、夜の光り輝く姿が格別に美しく、心の安らぎを与えてくれます。どこのパゴダでも共通することですが、裸足で歩くのは禁止されていること、膝から上が露出する服装は控えることや女性が進入してはいけないことなど、パゴダならではのルールが定められています。また外国人であれば入場料を求められる場合があります。

観光客は昔より増えていますが、ここの風景は昔も今も変わっておらず、いつも心の安堵を与えてくれます。

このような観光名所は多く、回るのも一苦労ですので、ヤンゴンに行く時には交通手段の確保がとても大事です。次にヤンゴンの交通事情を紹介します。

ヤンゴンでの移動手段

2011年以降の民主化により、ミャンマーの市場が海外に開放されました。これを機に市場が活性化され、急激な経済発展が遂げられています。国民の生活水準も以前より少しずつ改善されていることを観光しながら感じました。特に目立つのが車の量です。ミャンマーでは日本の中古車が多く走っています。一方、昔ながらの交通手段もまだ残っており、短距離の場合は三輪自転車のようなタクシー(サイカー)を利用する人もおり、かなり経済的ですので、車の量が比較的少ないところでよく見かけます。このようにミャンマーには、新しいものと古いものがうまく融合して存在している部分がありますが、私個人としては、できれば古いものもこのまま残して欲しいという勝手な気持ちが生まれた瞬間もありました。

【写真2】ヤンゴン市の交通状況

【写真2】ヤンゴン市の交通状況
(出典:flickr)

【写真3】ヤンゴン市内を走るサイカー

【写真3】ヤンゴン市内を走るサイカー

 

ヤンゴンでの移動手段には、自家用車、バス、タクシーなどがあります。短距離であれば経済的なサイカーを利用する人もいます。私はほとんどタクシーで移動していました。サイカーは基本料金が設定されていませんので、利用する際、かなりの値段交渉が必要です。このため、慣れていない人にはお勧めできません。ちなみに最近はタクシー配車アプリ(Grab)を利用してサイカーを呼ぶサービスが導入され、一部のサイカーはこのアプリを利用して呼ぶことができます。待ち時間が短縮され、料金を多めに請求されることがなくなり、利用者に安心感を与えられるサービスです。

このように、スマホアプリの文化も少しずつながら広がっています。そのための通信環境も整備され始めていますので、ここで、ヤンゴンの通信事情についても少し紹介します。

ヤンゴンでの通信状況

ミャンマーではパソコンを持つ人はまだまだ少ないですが、その一方でヤンゴンなどの大都市を中心に、近年ネットワークインフラが普及し始め、それに伴い、スマートフォンを利用する人たちが急激に増加しています。多くの人はSNS(特にFacebook)を愛用していますが、その使い方が変わっていて、主に情報検索、発信に利用しています。例えば、何かの情報が欲しい時はFacebookの検索機能を使って、関連情報のページに飛んだり、企業はホームページの代わりにFacebookを使って企業情報、イベント情報などを載せたりします。ミャンマーを長く離れていた私にとってはかなりの驚きでした。大学院時代の授業で、講演にいらっしゃったGoogleの方も同じお話をされていまして、東南アジアではFacebookは検索エンジンとして使われており、地域と文化の違いによって、市場が変化し、業界の境界線がなくなっていくという話を思い出して、それを実感した瞬間でもありました。

 

【写真4】スマートフォンに夢中の若者

【写真4】スマートフォンに夢中の若者

 

ミャンマーではキャッシュレス化がまだ進んでいないものの、ホテル、ショッピングセンター、大きいレストランなどではクレジットカードは使用できるようになっています。また、銀行間の送金は携帯アプリでとても簡単にできるようになっており、その進化に驚きました。

このように、新旧の文化が入り混じっているヤンゴンに住むミャンマー人の普段の生活についても少し紹介していきたいと思います。

ヤンゴン市民の生活

ミャンマー人はのんびりした生活が昔から好きで、特に食べ物が大好きです。そのための市場が様々な形で、色々な場所で充実しています。一般的なのは【写真5】(次ページ)の左のような露店市場で買い物をするパターンです。ここでは、食料品が豊富に揃っている上、その他の生活必需品や服なども簡単に安く手に入ります。また、【写真5】の真ん中のような屋台も街の至るところに存在し、市民の食欲を常に満たしています。私もよく利用しますし、夜の仕事の帰りに友人や家族と屋台を囲って団らんする風景をよく見かけます。さらに、近年では【写真5】のような現代的なショッピングモールも出現しており、多くの市民が利用し始めています。ただ、露店市場などより値段が高いので、ウィンドーショッピングだけする人も少なくありません。

【写真5】ヤンゴン市民のショッピング事情

【写真5】ヤンゴン市民のショッピング事情

 

のんびりした生活が好きなヤンゴン市民は、夕方になると、屋台で腹ごしらえをする前によく綺麗なインヤー湖で散歩します。夕暮れ時には涼しく、憩いの場としての人気スポットです。自然豊かで、夕方になると市民の散歩コース、若い人のデートスポットなどとしても利用されています。ここでの風景は昔も今も変わりませんが、スマートフォンで自撮りしている人が増えているのは昔では見られない風景でした。

 

【写真6】インヤー湖

【写真6】インヤー湖

 

私も久しぶりにインヤー湖で家族と散歩して、しばらく忘れていた懐かしいミャンマーの温かさを思い出し、短いながらのんびりした時間を過ごしてきました。次回がいつになるか分かりませんが、楽しみにしています。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。

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