世界の街角から:神戸の旅で知る変化
コロナ禍により居住する首都圏にとどまること1年あまり。旅行も控えていた折、今年6月末に仕事で初めて神戸を訪れる機会がありました。限られた時間ではあったものの、日常から離れて旅に出た経験を神戸の街の写真とともにお伝えしたいと思います。
グルメ編
神戸行きが決まるや、神戸出身の同僚や友人から次々お薦め情報が届き、その9割が食べ物の情報でした。神戸牛や明石焼き、豚まんなど有名な食べ物と美味しいお店の一覧です。
旅の醍醐味の一つはその土地ならではの料理を食べることでしょう。人生初の「神戸の味」は、中華街(南京町)の老舗のお店の豚まんになりました。宿泊先が元町で南京町が徒歩圏だったことも(知らずに予約していましたが)幸運でした。
豚まんの最小単位は6個入りですが、偶然、期間限定で中華料理店とのコラボ商品として2個入りセットが売られており、購入しました。ひとつは四川風ソースでいただくピリ辛味、もうひとつは高麗人参などの漢方食材が入った健康に良さそうな薬膳豚まんです。一般的な豚まんより小ぶりですがボリューム満点、2つでおなかいっぱいです(写真1、写真2)。
次に食べたのは明石焼き。JR明石駅の南側にある「魚の街商店街」内にあり、生魚店に並んで明石焼きのお店も軒を連ねています。数ある名店のなか、今回一緒に出張した同僚がリサーチした選りすぐりのお店にタイミングよく入店でき、明石焼きの昼食となりました。筆者は明石焼き(タコ)、同僚はミックス焼き(タコと穴子)を注文。傾斜のあるまな板のような「上げ板」に1人前15個がお行儀よく並んで運ばれてきます(写真3)。ふわっとした軽い明石焼きをそっとお箸でつまんで出し汁につけ、口の中に入れると卵の生地がふんわり広がり、タコの歯ごたえが相まって味と触感を楽しむことができました。
「魚の棚商店街」には色とりどりの短冊が下がった笹飾りや吹き流しが飾られていました。直接七夕飾りを目にし、コロナ禍で祭りやイベントの自粛が続いていたことで遠のいていた季節感が蘇ってきました。
食べ物について最後にひとつ。今回は食べる機会がなかったのですが、パン屋さんの情報も多く寄せられました。神戸の家庭では、食パンやフランスパン、デニッシュなどパンの種類ごとに贔屓のお店があるほど、バラエティに富んだパンを日常の食事で楽しんでいるそうです。
ちなみに全国の世帯当たりのパンの年間消費支出額の比較を見ると(総務省の家計調査をもとにGD Freak!作成、2016~2020年[1])、神戸市は37,228円で京都市の37,554円に続き、第2位を占めています。全国平均は30,892円ですが、東京都(23区)の34,600円と比べても約1~2割多いという結果があります。街なかでパン屋さんで順番待ちをする長い列を何度か見かけましが、昔ながらの老舗のほかスイーツ、料理が充実したお店など、多様なパンを楽しんでいる様子が垣間見られました。
観光編
日本の3大中華街で横浜に続く規模の南京町は宿泊先の近くだったため歩いて回りました。中華料理店や雑貨店、食材店が100軒以上集まる一角ですが、コロナ禍で休業している店舗も少なくなく、平日だったためか客足もまばらで、呼び込みの店員さんも手持無沙汰な様子でした。ただ、原色を基調とした看板やにぎやかなメニュー、文字は読めなくても笑いを誘う独特のディスプレイで中華街の雰囲気が感じられました(写真4)。
海も山も近く見どころも多い神戸の街。観光案内には、主要な観光エリア間が比較的近いため、鉄道や地下鉄を利用するよりも徒歩やレンタサイクル、バスなどで地上を移動する方が効率的だと記されています。当日の持ち時間は夕刻までの約2時間。さてどこに向かおうかと思案したところで目に留まったのが「神戸シティ・ループバス」。シティ・ループバスは、神戸都心エリアの主な観光スポットをつないで運行し、中突堤(ポートタワー)から北野の異人館までを結び、神戸の観光名所を約65分で1周する(図1)路線バスです。料金は大人260円、子ども130円(2021年6月末現在)です。
車内案内は録音音声で、各バス停の案内は日本語、英語、中国語、韓国語で、観光地の説明は主に英語と中国語で行われていました。外国語のパンフレットも配備されており(写真5)、公衆無線LANサービス「KOBE Free Wi-Fi」も無料で利用できます(写真6)。観光サイトを見ると、以前はガイドが乗車し肉声で観光案内をしていたようです。コロナ禍が収束し、肉声によるガイドが再開する日が待たれます。
途中下車して散策しようとシティ・ループに乗り込んだものの、結局一周乗車して戻ってきました。自宅から通勤していた時、最寄り駅から勤務先まで地下鉄を利用して外の景色を見ることがなかったため、車窓の景色ももちろんのこと、街行く人を眺めるのも久しぶりでした。
終わりに
今回の出張では、社内手続きが以前とは変わり、東海道・山陽新幹線EX予約システムを利用するようになっていました。乗降車時にはEX予約専用ICカードを改札機にタッチすればチケットレスで乗車でき、予約変更も出発4分前まで可能だという便利なサービスです。事前に使用方法をネットで何度も復習し、出発時は乗り換え駅で赤い紐の付いた専用ICカードを首から下げ意気込んでいましたが、在来線から新幹線乗り場の改札口まで来て足が止まりました。ここまで来た運賃はどこで精算するのか? 駅員の方に尋ねると、交通系ICカードとEX-ICカードを重ねてタッチすればよいとのこと。恥ずかしながらICカードを重ねてタッチできることも、重ねて利用する方法があることも知りませんでした。筆者が特例かもしれませんが、電車に乗る場面でも変化が起きていたことに気づかされた旅でした。
帰京の際は迷うことなくICカードを重ねて新幹線の改札を抜けました。背後で駅員さんが女性に話しかけている声が聞こえました。「重ねてタッチしてください」
遠出を控えるあまり、旅の仕方までわからなくならないよう気をつけたいものです。気軽に身軽に旅を楽しめる日が待ち遠しい限りです。
[1] https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010050001070100005/9
※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。
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